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カテゴリ:【物語】幸福のひと:遺品(番外編)
【番外編】幸福のひと:遺品10 ~手の平の記憶~ 「クローディア」 それまで、一言も話さなかったルエラがぽつりと呟きました。 マリーのまっすぐな視線を受けて、ルエラは立ち上がります。 それから、居間に置いてある小さな衣装箪笥に向かい、 小さい引き出しをあけました。 奥から小箱を取り出して、引き出しを閉め、ゆっくりと マリーの元へと歩んできます。 「あなたに見てほしいものがあるの」 小箱を開けると、なかからはつやつやとした肌触りの、シルクのベージュががかった白い布が 現れました。 手にとって、ゆっくりと布をとります。 なかからは、見事なカメオの細工が施されたロケットペンダント が現れました。 「これは…」 驚いた表情のマリーにうなづいて、ゆっくりとペンダントの 裏をみせました。 『クローディア 愛をこめて』 「私を産んでくれた母の形見です」 これしか残っていませんと、そっとマリーの手に乗せました。 わなわなと震える手で、ペンダントを受け取り、 そっとペンダントを開きます。 「あら…」 「写真は、双子の弟が持っています。」 ペンダントを開いて、落胆した表情を浮かべるマリーに ルエラは穏やかに微笑みました。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.09.03 09:33:56
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