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カテゴリ:【物語】幸福のひと:遺品(番外編)
【番外編】幸福のひと:遺品11 ~王宮への誘い~ ルエラからペンダントを受け取ったマリーは、嬉しそうに顔をほころばせます。 「これは、前王が姫君の12の誕生日に贈ったものです」 見事なカメオの細工は、特別にと職人につくらせたものでした。 他の王子や姫君は、もっと豪奢なドレスや絵画、貴金属を欲しがりましたが、姫様は華美なものを好まれませんでした。 そう言って、大切そうにペンダントをなでます。 マリーの中で確信めいたものが浮かびます。この数十年間、国からいなくなってしまった姫様をずっと探していたのです。 姫君が亡くなったという情報はすでに手にしていましたが、その後の行方は、はっきりとしないままでした。 たまたまこの国に立ち寄ったルエラに目をつけたのはマリーでした。 船から降りた時のルエラを偶然垣間見た時、一瞬で閃いたのです。 それからすぐに、前王の耳に入れ、自分は真偽を確かめるべくルエラに近づきました。 もしも、もしも自分の勘が正しければ、ルエラは姫君の御息女であり、 正統な王位継承者です。 何より、前王が会いたがっていました。手短に話すとルエラにカメオのペンダントをさしだしました。 「このペンダントが何よりの証拠です」 一度王宮へ、いえ、前王の元へおいでくださいませんか。 興奮のため、きらきらと瞳を輝かせるマリーをじっと見て、 ルエラはゆっくりと口を開きました。 つづく お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2011.09.04 08:34:00
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