512246 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

ネット文芸館 木洩れ日の里

ネット文芸館 木洩れ日の里

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

ニューストピックス

コメント新着

高校時代の恋人です@ Re:ばあばになった日(02/23) おめでとうございます、 孫は子より可愛い…
笑左衛門@ Re:美しい十代(08/12) パチパチパチパチ うわああ、面白いわ、 …
笑左衛門@ Re:いよいよ卒業だあ(07/15) サヨナラヒロシ君 昭和の匂いがしてとても…
*成風*@ Re[1]:雨の季節(06/30) 笑左衛門さんへ コメント、 ありがとうご…
笑左衛門@ Re:雨の季節(06/30) いい歌ですね、 雨のにおい、、赤い傘 、…

お気に入りブログ

王子の狐 New! 笑左衛門さん

カレンダー

日記/記事の投稿

カテゴリ

キーワードサーチ

▼キーワード検索

バックナンバー

サイド自由欄

このサイトに掲載している「文章と絵手紙画像の著作権」は、当サイト管理人に帰属しています。従って、無断で転載することをお断りします。

2014.06.01
XML
カテゴリ:高論歩事件帳
橋の下.jpg

 でくは閉鎖した鶏卵場から退職金の、10万円を貰って、寮を追い出された。東京にいってみようと、新宿行きの電車に乗った。電車に乗るのは、五回目だったかもしれない。
 暫く、新宿の公園で寝泊まりしたが、そこには古株のホームレスがいて、縄張りもり、いい場所で寝ることができなかった。残飯漁りのハンバーガー屋や、飲食店にも先輩浮浪者がいて、そこにも、縄張りがあり、新米ホームレスの残飯漁りは厳しかった。

 でくは、どうして自分ばっかり不幸なんだろうか、とは思ってはいない。
「人間みな、同じ様なものだよ」と、中学の先生が言ってたことを思い出す。辛いから、死にたいなどと思ったこともなかった。自殺するなんてのは、頭のいい人がすることだと、思っていた。

 新宿を離れて、山谷で三日寝て、池袋では一日だけ寝て、川崎で寝ていたら、この川を上っていけばいいところがあるよ、と、ホームレスの爺さんに言われて、多摩川沿いで五泊して、流れ流れて、たどり着いたのが、この、リバリーヒルズの近くの橋の下だった。
 三日前まで、この場所で寝泊まりしていた、ホームレスが警察に突然しょっ引かれたて、空き家になっていたのだ。ビニールも、段ボールも枕代わりのマンガ本も、鍋もあった。

 肌はかさぶたのように垢と汚れで、かさぶたのようになっているので、蚊取り線香はいらない。蚊も不味い血は吸わない。蚊や虫も美味い血は高級住宅街にあることを知っている。
 月曜日と木曜日の生ごみの日にリバリーヒルズのゴミ箱の隅で、餌を漁った。リバリーヒルズのゴミ箱にはご馳走があったし、塵の中には、でくにとっては宝物も沢山あった。酒は居酒屋の裏で、ビンの底の残り物を飲んだ。
 でくは、ここに流れ着いてほっとしていた。

(つづく)

作:朽木一空

※下記バナーをクリックすると、このブログのランキングが分かりますよ。
またこのブログ記事が面白いと感じた方も、是非クリックお願い致します。
にほんブログ村 ポエムブログ 心の詩へ
にほんブログ村

人気ブログランキングへ








お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2014.06.01 10:32:08
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.