以下の文章は、所属している子育て支援関係のボランティア団体の会報に、以前に載せたエッセイです。
私の思い出話として、多少編集してブログに乗せておきます。
「よく泣く赤ちゃん」
9~10か月検診会場に、赤ちゃんへの絵本の読み聞かせ(というより絵本で遊ぶ)のボランティアとして行った時には、色々な個性的な赤ちゃんと出会います。
そんな中で、私がつい、「お母さんご苦労さま。もうしばらく頑張ってね」と特に思うのは、よく泣く赤ちゃんに出会った時です。
実は、私の長男(すでに30代後半)が、本当によく泣く赤ちゃんだったからです。
授乳の後、うとうとしたので寝せようとしたとたん、すぐに目を覚まして「ギャーッ!」。
抱っこするとまたうとうとするので、布団に寝かせると「ワーン!」。
母乳が足りないのかとミルクを飲ませても頑として口を開かず、無理に押し込むと舌で押し出してぐずるし、やっと眠ったかと思っても睡眠は浅く、少しの物音に目を覚まして泣き続ける。
首が据わらないうちは、とにかく抱いていなければ泣くため、祖父母からは「抱き癖がついたのだから、放っておけ」と言われ、しばらく泣き声に我慢してみるけれど、やがてひきつけを起こしそうな様子にまた抱き上げ…。
6か月で仕事に復帰し保育園に預けるようになり、やっと息子の泣き声から解放されたというのがその頃の実感でした。その分、保母さんたちはずっと、6か月の息子を抱き続けて下さったようで、今更ながら感謝・感謝です。
息子が泣いて「抱け!」と大人に要求し続けたのには、きっと彼なりの理由があったのでしょうが、当時の私にはさっぱりわからず、こっちも泣きたい気持ちで抱いたりおんぶしながら、家事をしていたものです。
そんな息子も、ハイハイから歩くようになり、自分の好奇心のままに動きまわるようになってからは、いたずらや危険なこともしょっちゅうでしたが、なんとか大きな怪我もせず成長しました。
つまりは、自己主張の強い個性を持つ子だったのですね。
結局、よく泣く赤ちゃんは何かの主張をしているのでしょう。
これからの長い人生を自分らしく生きるために、とても大切な力を持っているとも言えます。
どうぞ、その個性を「困ったもの」と潰そうとせず、「頼もしい子だ」としばらくの間頑張っていただきたいと思います。
泣き声にイライラする時は、抱いてくれる誰かの助けを遠慮なく受けて下さい。
主張の強い赤ちゃんは、お母さんの感情もよく読みとるみたいですから。