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カテゴリ:洋画(08)
「面白い‥‥‥」
監督 : ニキータ・ミハルコフ 出演 : セルゲイ・マコヴェツキイ 、 ニキータ・ミハルコフ 、 セルゲイ・ガルマッシュ 、 ヴァレンティン・ガフト 、 アレクセイ・ペトレンコ 、 ユーリ・ストヤノフ 、 セルゲイ・ガザロフ ヘンリーフォン主演のアメリカの民主主義を謳った旧作のリメイクでありながら、現代ロシアを色濃く反映した新たな名作陪審員映画となっている。 最初、陪審員たちは1時間半で終わるとたかを食っていたり、全員一致の原則で最初は11対1で有罪が圧倒的なのに、だんだんとそれが逆転していくさまも同じ。しかし、容疑者の子供はチェチェンの紛争で追われてきた孤児であり、陪審員たちも現代ロシアのそれぞれの階級や職業を代表しており、(巡業芸人、タクシー運転手、会社社長、商社会社員、芸術家、等々)それぞれの陪審員たちの人生が浮かび上がると同時に、ロシア社会に巣くう民族差別、容疑者の悲惨な人生も浮かび上がると言う見事な構成である。 このような映画を見ると、陪審員としての大変さと同時に、いいかげんな弁護士に当たったときのチェック機能や、素人の視点や豊富な人生経験を生かしての裁判への判断は必要だな、と思ってしまう。 ついに私には「今回は」裁判員へのお誘い手紙は届かなかった。前作や今作を見て、裁判員になろうとすると、しかし大きく後悔してしまうかもしれない。先ずは、裁判員と陪審員、名前が違う。此の間の報道だけ見ても、日本のそれと、アメリカやロシアのそれとは大きく違うことがわかる。 1、裁判員だけで判断しない。プロの裁判官が同席をする。(原則として裁判員6名、裁判官3名) 2、有罪か、無罪かだけを判定しない。有罪の場合の量刑の判断も行う。 3、全員一致形式ではない。有罪判決をするために必要な要件が満たされていると判断するには、合議体の過半数の賛成が必要で、裁判員と裁判官のそれぞれ1名は賛成しなければならない。だからこの映画のようなドラマは起こりえない。 また一般的に映画「それでもボクはやってない」で示されたような素人の「常識」が生かされるような「事件」はこの制度では担当しない。殺人などの大事件のみを扱うのである。この裁判員制度によって刑事事件の99.9%が有罪になるような日本の裁判制度の改善に繋がるかどうかは非常に怪しい。痴漢事件はもとより、個別ビラ配布事件のような軽犯罪だけども、重大な事件には関与しない。 それでも私は裁判員に選ばれたならば、積極的に参加したいと思う。(今回は来なかった。非常に残念)なぜならば、基本的に今の刑事裁判は「疑わしきは罰せず」の原則になっていないからである。「絶対死刑反対」と言う「思想」を持った人間は裁判員としては排除されるそうだが、私は「絶対」ではない。けれども、量刑を決めるときは「素人」としての判断を十分生かしたい。 この映画でユダヤ人の男が、人種差別に反対だと言う一点で最初の頃から容疑者の有罪に反対していた。彼の口癖は「面白い」だった。私の心情も彼に一番近い。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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