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テーマ:本日の1冊(3684)
カテゴリ:読書(ノンフィクション12~)
「ブームをつくる 人がみずから動く仕組み」外村美樹 集英社新書 著者は少ない予算から「香川県はうどん県と改名されました」という記者会見で、ネット騒然を引き起こして、8億9千万円の広告効果を作った「PR」のプロです。 こういうハウツー本は避けて来た私ですが、ある事情から、たいへん興味深く読むことが出来ました。感想を一言で言えば、 市民運動をしている人には必読本です! なぜか。 (1)市民運動は金と権力がないので、マスコミを動員出来ない。 (2)広く世間にPRしたい切実な欲求がある。 (3)市民運動家は十年昔日の宣伝方法しか持っていない。 一方、著者はPRは政治的な意図を持って人々を煽動するプロパガンダとは異なると自負する。それは以下の四点の理念を守っているからである。 ●事実に基づいた正しい情報を提供する。 ●ツーウェイ・コミニュケーションを確保する。 ●「人間的アプローチ」を基本とする。 ●「公共の利益」と一致させる。 これは正に「市民運動の理念」そのものである。 それならば、堂々とPRのノウハウを借りればいい。私なりにまとめたのは、以下の点である。 (1)社会層ではなく、個人にむけて情報を発信する。ターゲットを絞る(女性の母性本能をくすぐることも大事)。 (2)2%の人々が動けば、当該地域が変わる。 (3)始まりはメデイアか何かのインパクト→インターネットでの拡散→みんなに「ああ、みんな面白いと思っているんだ」安心・信頼感→「取り残されたくない」欲求→社会的な動き (3)「三面記事的なネタ」を怖れない。「物語」を発見する。 ここに書いてある数々の成功事例は、そのまま使えないけど、数々のヒントがあるのは確か。課題は炭の様に硬くなった市民運動家の頭の中を豆腐の様に柔らかくすることだろう。 最近、正にこの通りの「動き」があった。 「保育園落ちた。日本死ね」のブログがインターネットで拡散されて、「あゝ、私もそうだ」という言葉が広がり社会が動きつつあるのである。国会の答弁を受けて「落ちたのは、私だ」と動いたのは、正に教科書通りだろう。公益もあるし、物語も、三面記事的な話もある。 問題は最初のインパクトをどう作るか、である。 2016年3月25日読了 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2016年03月25日 13時34分22秒
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