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2016年07月16日
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「鼻紙写楽」小学館 一ノ関圭
手塚治虫文化賞マンガ大賞、日本漫画家協会賞大賞のダブル受賞はもちろんすごいのだけど、それだから滅多に買わない単行本を買ったわけではない。受賞のおかげで、一ノ関圭の新作が出ていたことを知ることができたからである。ありがとう。見逃すところでした。

しかし、地域で1番マンガを所蔵するネットカフェには、一ノ関圭の作品が一冊もなかった。おいおい、一ノ関圭を知らないのか⁈もちろん、最近の上手い漫画家は多勢居る。しかしアシスタントの共同作業で描く以上、それはやはり工業製品に限りになく近いだろう。浮世絵師は画は結局1人で描いた。大量生産されて消費されるために、描いた。彼女のマンガにもその「迫力」がある。

全てのページが芸術品だと云うわけではないが、かなりのページがそのまま美術館に保存するべき「記憶するべきマンガ」になっているだろう。どうしてこんなところまで調べてるんだ、どうしてこんなカメラワークで描けるんだ、なんだこのぞくっとする目の輝きは。ありがとう。もうお目にかかれないと思っていた作家の連載が、こんな大判で、予想をはるかに越える分厚い本で、出会えるとは。

江戸歌舞伎周辺の「江戸」を、知る人ぞ知る絵師がここまでマンガで再現した。勘違いしてはいけない。「鼻紙写楽」は、写楽が主人公ではない。写楽の役者絵を表紙に持って来ているだけだ。天明から寛政にかけての歌舞伎役者群像こそが、この作品のテーマなのだ。また、その中で誰にも染まらずひときわ輝く「りは」という少女は、圭が好んで描く女性像だ。役者も浮世絵師も、その場その場で消費される。けれども、本人たちは人生をかけるだろう。その結果、何人かが歴史に残った。その不思議に、圭も魅せられたのに違いない。歴史を調べれば調べるほどに、田沼意次の政治には見るべきものがあり、松平定信の寛政の改革には窮屈さがある。そういう「視点の交換」もたいへん面白かった。

2016年7月読了





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最終更新日  2016年07月16日 18時10分05秒
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