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テーマ:本日の1冊(3695)
カテゴリ:水滸伝
「岳飛伝7」北方謙三 集英社文庫 いつもレビューは発行日の翌月の5日前後になっているので、読むのに2週間近くをかけているかのようではあるが、実際は違う。 たいていは発行日の5日以内に購入して、その5日以内には読み終わっている。いや、実際は2日で読み終える。読まないでは、いられなくなる。出来るだけ、ゆっくり読みたいと思う。読んでいる時だけ、現(うつつ)の憂さを忘れることの出来る本は少ないからだ。読み終わったら、何度か読み直す。そしてレビューを書き始める。そうやって、既に40巻以上の大水滸伝シリーズを読んで来た。 まだ10巻もあるのだけど、なんか既に終わるのが辛くなって来た。ここにいる登場人物たちとの別れが刻一刻と近づいている。 久しぶりに蔡豹が登場した。本人も本文の中でも「わたしは梁山泊ではない」と言っているが、なぜか王清と共に目次の登場人物欄に彼らは梁山泊として数えられている。実父を殺したのは、育ての親の蔡福だと信じてしまっている蔡豹の人生は、子午山でも真っ直ぐになる事はなかった。しかし浪子燕青が彼に仕事を与えた。そこから何かが変わらないか。期待したい。 宣凱さえも目に見えなかった史進の剣さばきに、日本の剣豪を当ててみたいなどの叶わぬ夢を持ってみる。長編ならではの超奥手・宣凱のエピソードが愛おしい。史進が言う。 「行け。行先は、おまえより、万里風が心得ているさ」(233p) 10万人の町は既に町ではない。国だ。南に行って、ただ営々と砂糖を作り、交易するという単純な仕事から、営みが大きくなっていって、生活だけではなく、幸福さえも求めてゆく。秦容が始めるその試みは、しかし梁山泊があるから出来たことではある。 「替天行道の志が、なぜ存在し続けていられたのか。その理由が、はじめてわかるような気がした」(119p) 理想を追い求めるとは、どういうことか。ひとつのかたちを見せつけてくれて、わたしには、とても興味深い話である。 2017年6月1日読了 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2017年06月11日 21時57分11秒
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