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テーマ:映画館で観た映画(8540)
カテゴリ:洋画(12~)
今月の映画評です。
「パブリック 図書館の奇跡」 岡山県には、日本最大の借し出し数を誇る県立図書館があります。此処に人が大勢集まるのは、単なる本の貸借の場所だけではなくて、様々な企画もあり人が落ち着いて過ごせる「公共」の機能もあるからです。 米オハイオ州シンシナティの公共図書館で、実直な図書館員スチュアート(エミリオ・エステベス)が常連の利用者であるホームレスから思わぬことを告げられます。「今夜は帰らない。ここを占拠する」。大寒波の影響により路上で凍死者が続出しているのに、市の緊急シェルターが満杯で、行き場がないというのがその理由でした。スチュアートは独断で彼ら100人のホームレスの占拠を認めます。市長選への立候補が迫って、強い立場を示したい検察官(クリスチャン・スレーター)や、目立つ報道をしたいテレビ局キャスターなどの思惑がすれ違い、予測不可能なラストにもつれ込む佳作でした。 いったいどうしたら良かったのでしょうか? 法と秩序のために力による排除を主張する検察官に対して、図書館の館長は「私は市民の情報の自由のために全人生を捧げてきた。公共図書館はこの国の民主主義の最後の砦だ」と叫んでホームレスと一緒に立て篭もります。「図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る」とした実在する「図書館の自由に関する宣言」を思い出しました。 主演で監督を果たしたエミリオ・エステベスは、安易なラストにせずに公共のあり方を観客に問うています。(2020年米国作品、レンタル可能) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年09月18日 13時41分18秒
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