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カテゴリ:読書フィクション(12~)
「フーガはユーガ」伊坂幸太郎 実業之日本社文庫
「僕の喋る話には記憶違いや脚色だけじゃなくて、わざと嘘をついている部分もあるので、真に受けないほうがいいですよ」 伊坂幸太郎はエンタメ作家である。 ちょっとトボけて、ちょっと優しく、それでいて不思議な主人公が出てくるのが特徴である。 リアルな現実を描きこみながら、一つの嘘を紛らわすことでしか、真実を描けないことがある。 歴史家には出来ない。小説家にしか出来ない。 それがエンタメの役割だろう。 いっときはブンガク者になろうとした時期があったような気がする。伏線回収を行わず、ディストピア作家になろうとした時期があったような気がする。でも最近は吹っ切れて、読者が望む小説家になろうとしてるかのようだ。 曰く。魅力的なキャラ。伏線回収。アクション。勧善懲悪。笑って泣ける小説。でも寅さんじゃないけど、笑って泣ける話ほど難しいものはない。 「嘘をついているー」もそうだけど、前半から新幹線にしろ、ボウリングにしろ、ワタボコリにしろ、そして章立てに使われた熊のぬいぐるみにしろ、伏線アリアリ。お陰で半分予想がついた、と同時に1/4はビックリした。そして1/4は途轍もなく寂しくなった。 閑話休題。 フーガとユーガは双子の兄弟。同時にひとつだけ「現実離れした能力」を持つ、そして「辛い現実」を生き抜いてきたバディである。そんな2人の2010年代の物語。正月の一気読みでした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022年01月10日 21時33分40秒
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