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火焚祭、平安時代の収穫祭・庶民の暮らしが楽になると夜の遊びが大フィーバー、そこで規制緩和となった。60話
秋の収穫が終わるこの時期には洛中、洛外は元より、遠くは北陸、和歌山、四国からも豊作のお礼にと穀物や特産品の献上が稲荷神社に届く。これを神職や巫女が手分けして引き取り記帳した上で本殿での祝詞をしてその献上品を運んでくれた農民、村単位にお礼のお祓いと「五穀豊穣」のお守り木札を授与していた。 農民らは去年授与された古いお守りの木札をお返ししていたが、このお守りや絵馬が溜まる一方だった。そこで稲荷神社三代目宮司の伊蔵はこれらの古いお守りを千本鳥居横の多目的広場で燃やすことにした。これはただ燃やすだけではなく遠い所から数日もかけて献上品を運んでくれた人たちへの夜の暖にするというアイデアでもあった。 この819年11月8日は木枯らし一号が吹き荒れた日でこの献上品の検品と記帳は深夜まで続いていたからだった。これが「火焚祭」の最初の日だったが、このことが毎年11月8日に行われると言う事で若いカップルの夜のデートの場になるのは当然で、さらに木札に「恋や愛」「家内安全」などの願いことを書いた物を「火焚串」というがこれを買ってもらいそれを燃やすことで願いが叶うということも大流行していた。 この稲荷神社は日本で只一つの官からは何一つの援助を受けていないまったくの民間の神社で100名を超える神官や巫女の人件費や諸費用のすべては信者からの賽銭、寄付、献上品、そしてお守り札の売り上げだけだから相当なご利益がなければこのように全国から信者の献上品は集まらないことになる。 初代宮司の伊呂具の考えは「農民が豊かになれば国が栄える」ということで農民の暮らしのためにこの寄付や献上品のすべてを水田の開墾、農業用水の開発や溜池の整備をしてきた。こうなればさらに献上品が集まり、この事業は果てしなく拡大してきた。神様といえばお祓いでなにもかも解決できるということではなく伊呂具は唐の農業、土木、気象、天文を科学的に取り入れてきた学者でもあった。 この火焚祭を機会に庶民は稲荷神社への夜の参拝から夜遊びのための参拝に変化してきた。元々、夜間の参拝者のためにほぼ朝まで表参道には灯篭、行燈などでライトアップはあったが、これは悩みが多い庶民の信仰のためのもので遊びではなかった。 ところが農民も庶民も暮らしが豊かになってくると夜は寝るだけのものから夜は楽しむものということになってきた。つまり、この京の都で夜に明かりがついている場所とはここしかなかった、それに神社は拝観料もいらない、賽銭も強制されないから若者にとっては夜のレジャー施設と同じになる。いえいえ、これは若者だけではなく人妻の不倫の隠れ蓑にもなっていた。 ある大店の妻が手代の若者と恋に堕ちた。妻は夫の両親の病気の願をかけるという理由で週に1回は夜の参拝にきていた。するとどこからかその不倫相手の手代が現れて千本鳥居横の広場で愛し合っていた。これが1組や2組ではなく多い日は10組にもなりその異様な雰囲気で各組のカップルはさらに燃えるという凡そ信仰とはかけ離れたお山になっていた。 そこでこの神社を警備するフォックス警備保障の狐の隊員は人間に化けてパトロールをしていた。あまりにも若いカップルには隊員が説教をしてその幼い女性を家まで送っていた。しかし、自己責任で不倫している大人のカップルに対しては説教する権限はなかった。 そうこうしているうちにこの話が洛中、洛外に伝わるとこのカップルの性態を覗きに来る若者でさらに夜の神社は賑わっていた。そうなると需要と供給の関係で観てほしい願望のカップルが現れるようにもなった。その興奮した若者を相手に年増の後家さんまで厚化粧で現れて若者の精気を吸い取る山姥まで現れてこれが天皇の耳に入った。 嵯峨天皇は伊蔵を呼び、 「お主の稲荷神社は最近風紀が乱れているというが…」 「はい、まったくその通りで困っています。一応、フォックス警備保障の隊員を増やして未成年は午後6時以後は立ち入り禁止。さらに売春などの商売女は即逮捕、覗きの若者にも注意しています」 「そか、風紀の乱れに予がとやかくいう資格はないが…昼は一生懸命仕事をして収穫の後の夜のひと時の娯楽も必要になる」 「はい、その通りと私も思います、権力がたとえ不倫だとわかっていてもそれをとやかくいうことはできません」 「しかし、この風紀の乱れのきっかけを作った稲荷神社の火焚祭というのには責任がないのか?伊蔵」 「それは~夜の遊び場が規制されているからです。たとえばお酒をだす茶店の夜の営業を認める規制緩和をすれば店への年貢(税金)、それに酒の酒税も入ります」 「そか、しかし、夜の営業ともなると高い照明油代がいるが…」 「これも油商の山崎屋が荏胡麻や菜種から鉄の機械で油を搾り取るのに成功しました。そして価格も約半分になったそうです」 「そか、それなら夜の茶店の営業を認める。しかし、茶店は庶民のものだが、我ら貴族の夜の店はないのか?」 「はい、それなら高級料亭の夜の営業も認められたら?」 「そか、それなら公家も貴族も武将も、そうそう、あの生臭坊主らも反対はしない」 …農民が豊かになれば国が栄える」といったが、これの反対語は「公家や貴族が豊かになれば農民も豊かになる」となる。現在は「まず金持ちが豊かになれば庶民にも金が回るという」という小泉、竹中理論で賃金の安い派遣労働者が認められていた。それから十数年にもなるが、庶民には格差は広がったが豊かにはなっていない。 …火焚祭 11月8日
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最終更新日
2016年11月02日 06時20分15秒
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