尖閣沖での海賊=中国漁船の海上保安庁巡視船に対する暴虐な振る舞いの真実をユーチューブを通じて世界に流した勇気ある英雄である神戸海上保安部保安官の一色正春氏が一昨日、依願退職した。これ以前、海上保安庁から同氏は停職1年という長期停職処分にされていた。
◎依願退職・書類送検に留めたのは、世論の勝利だ
この結果は、我々には残念なものだが、しかし見方を変えれば世論の勝利とも言える。最初、ボケ菅内閣の実質的首相である官房長官の仙谷は、極悪非道とも言うに等しい誹謗を同氏に投げつけていた。もし世論が、ビデオ公表支持に盛り上がらなければ、一色氏は仙谷らの圧力で、逮捕のうえ起訴され、勾留されたまま懲戒免職になったはずである。
同氏を取り調べていた地検も、さすがに中国漁船船長を放免してしまった後だけに、書類送検に留めざるをえなかった。今後、同氏は起訴猶予となると思われる。
ただ、一色氏家族のこれからの生活は厳しいだろう。退職したので、官舎を出なければならない。依願退職なので、退職金は出るが、停職1年の処分が出ているので、ある程度、減額されると思われる。
◎失業給付のない公務員
それ以上に厳しいのは、公務員には失業手当がないことである。これはつい先日、旧知の友人と会って、彼の口から直接聞いたことである。ちなみに彼は、ある出版社を辞め、地方自治体の博物館学芸員に就いたが、あまりの緊張感のない日々に耐えきれず、定年前に辞職してしまった経歴を持つ。
その彼から、公務員は「辞める」という前提がないので、失業給付はないのだと聞かされた。その代わり、民間企業の勤労者なら給料から天引きされている雇用保険もとられていなかったという。
それを聞いて、「親方日の丸」という言葉がようやく納得がいった。どんなに無能でも、どんなに怠惰でも、非行さえ犯さなければ定年まで身分が保障されるという公務員の椅子は、まさにアームチェアなのである。
その安楽な椅子を、一色氏は覚悟のうえで放棄した。
だから自民党は、政権復帰したあかつきには、同氏を相当の職に招請して同氏の名誉回復を図ってほしい、と切に願う。一色氏は、バラマキスト民主党政権の間違った外交を糺そうとした最大の英雄であり、犠牲者なのだから。
◎「無自転車社会」? 韓国
さて、ソウル紀行を続ける。
「大韓生命63ビルディング」(通称「63ビル」=高さ264メートル)のスカイアーツで、ややしばらくソウル市街を展望した。漢江クルーズ発着場が、眼下の漢江縁に見える(写真上の画面右の施設)。
漢江の河原は、広い公園として整備され、ここでだけ自転車が見られる。上の写真でも河原を貫いて舗装された自転車専用道が走っているのが見える。ここには、レンタルサイクルも用意されている。
ちなみに通勤に、買い物にと、日常的に自転車を使うリブパブリは、前から知ってはいたことだが、ソウルで実感したオドロキの1つに、歩道で自転車に出合ったことがないことだ。爆走自転車にしょっちゅう、チャリン、チャリンと鳴らされる日本の都市散歩と異なり、ソウルでは全く自転車を意識しないで済むのは徒歩の観光者には大きな安心感である。
◎延世大キャンパスにも1台の自転車も走っていない
自転車が見られないのは、大学でも同じだ。
滞在中の夕方、地下鉄に乗って新村(シンチョン)駅で降り、韓国の名門私大である延世大学(Yonsei University)を訪ねた。目的があったわけではないが、かつて朴正熙独裁時代、激しい学生運動の拠点校の1つだったから、ぜひ訪れたいと思っていたのだ。
正門から真っ直ぐの広い道が山の端まで延び、その両側に近代的講義棟が並ぶ広大なキャンパスである。日本の大学同様に、かつての過激な学生運動の面影はない。
広い道の両側には歩道もあり、完全に「歩車分離」されている。しかし、キャンパス内で1台も自転車が走っていない(写真中)。わずかに正門裏に狭い駐輪場が設けられ、そこに数十台停められていたが、各校舎前には1台も自転車の駐輪がない。
例えば本郷の東大キャンパスに赴くと、地下鉄本郷三丁目駅から狭い歩道を自転車が走り、キャンパスに入れば自転車の山である。どこでも校舎の前は、夥しい駐輪の海だ。
延世大のキャンパスを1時間ほどぶらついたが、ついに1台も自転車の走っているところを見なかったのである。
◎「漢江の奇跡」の漢江をクルーズ
スカイアートの展望台を降りると、漢江の岸辺に設けられた船着き場に向かった。夏と違い、すでに降雪するほどの陽気である。晴れてはいても、運航しているのかと疑問に思いつつ、船着き場に向かう。
漢江は、「漢江の奇跡」と呼ばれる韓国戦争(いわゆる「朝鮮戦争」)後の驚異的復興の象徴で、ソウルをほぼ東西に流れる大河である。韓国戦争では、押し寄せる北朝鮮軍の南進をここで押しとどめるために、まだ橋上に多数の避難民と韓国軍兵士がいたのに橋を爆破して多くの犠牲者を出した悲劇の川でもある。
だから漢江は、ソウルで1度は見てみたいと思っていたものだ。幸い、クルーズ船は小さな船が運航しており、チケット売り場に到着したのは、出発5分前だった。
出航後甲板に出ていたが、思ったほど寒くはない。ただ、それほど見るものがあるわけではない。クルーズの終盤に、国会議事堂を遠望できるところまで行ったのが、そんな程度だった。
写真下は、クルーズ船から見た大韓生命63ビルディング(画面左のひときわ高いビル。右側に小さくLGツインタワービルが見える)。
追記 ボケ菅政権は、河野雅治駐ロシア大使を退任させることを決めた。11月のロシア大統領、メドヴェージェフの北方領土訪問について、最後まで北方領土に行かないと本国に報告し続けた、事前の情報収集が不十分を問題視した。大使就任2年未満で異例の交代で、事実上の更迭だが、これもまたバラマキスト民主党政権の招いたことである。
クロ鳩の軽挙妄動で日米同盟に亀裂が入らなければ、メドヴェージェフも北方領土に踏み込もうとまでは思わなかったに違いない。
本文でも述べた尖閣沖での中国漁船衝突もそうだが、バラマキスト民主党政権は自らの幼稚さの招いた外交敗北の責任を、他に転嫁してしのごうとする。もちろん河野大使の情報収集の不十分さと情勢分析の甘さは攻められるべきだが、それなら外相の前原誠司氏とさらに総括責任者であるボケ菅は責任がないのか。
卑怯、卑劣と言うしかない。
追記の追記 鹿児島市の民家で昨年6月、老夫婦を殺害したとして強盗殺人罪などに問われた白浜政広被告(71歳)について、鹿児島地検は22日、死刑求刑に対し証拠不十分で無罪を言い渡した鹿児島地裁の裁判員裁判の判決に事実誤認があるとして、福岡高裁宮崎支部に控訴した。
無責任なシロウト裁判員による安易な無罪判決が、プロの裁判官によって正されることを強く期待する。
なお白浜被告は、地検の控訴に対してのメディアの取材に、相変わらず現場に行っていない、とシラを切っている。現場には白浜被告の指掌紋とDNAが残されており、裁判員裁判でも「(行っていないというのは)うそである」とはっきりと断定している。