沙耶 美海 優花の三人は
埼京線のホームへ向かう途中
なにやらそわそわとする優花
美海「どうしたんだよ~優花?」
優花「ん」「ん~なんだか、誰かが着いてきているような気がして」
沙耶「何 言ってんだよ!」「超~怖え~し」
もう一度振り返る優花
『あれ~なんだろう?人の影?』
優花の目には
体が透けた人々が無数に残像のような 夢を見ているような
感覚で見えていた。
手で目をゴシゴシとこする優花
もう一度 目を開けて見直すと
今度は透けていない人々が見える・・・
優花「やっぱ疲れているのかな」とぼやきながら
二人の後について行く
その時 確かに優花の後ろを 人間とも影とも
言えない何かが静かに着いてきていた。
沙耶「早くしろよ~」
帰りが遅くなり 親に叱られるのが面倒で嫌な顔をしている
沙耶が言う。
何とか 三人は混雑する埼京線の車内に乗り込めた。
美海「スゲー混んでね~?」
沙耶「早く動かね~かな」
イライラしている沙耶
そこへ優花が
優花「明日 宿題あるのすっかり忘れてた」
三人は顔を合わせると
さらにガッカリしてうつむいた。
車両が動き出し混雑する車両の中では
手の出しようがないほどである。
やがて車両が渋谷駅のホームに入る
沙耶『あー面倒くさい。親が怒るうえに宿題かよ~!帰りたくね~』
沙耶がそう思ったとき
『一緒にいようよ・・・』
車両の扉が開き人々が次々とホームに押し出されている。
ホームに出た美海と優花
優花「あれ~沙耶は?」
二人が車両の方に目を向けても沙耶の姿は無かった。
「イライラしていたから先に行っちゃったんだよ」と美海が言う
心配する優花だが言われるがままに次のホームへ
向かって行った。