1回で終わる根管治療13.1(α-TCP+3MIXによる根管充填)
40代女性、右下6、Per+GA、自発痛+、1回目の治療から1年後に同じ歯で別の部位のGAができた症例だ。1回目の治療とCRによる歯冠再建と2回目の根管治療と3回に分けての記事を予定している。今日はその2回目、3MIX+α-TCPによる根管充填とCRによる歯冠再建だ。前回のつづきhttps://plaza.rakuten.co.jp/mabo400dc/diary/202405150000/超音波スケーラーのエンドチップで洗浄した後は水平エアブローで水分を飛ばした後、3MIX+α-TCPの精製水練りと続いて50%クエン酸水練りで根管充填する。根尖の確保とか根管拡大とかは必要ない。根尖が開いていようがいまいが超音波洗浄だけで良い。3MIX+α-TCPの精製水練りを加圧して緊密に根管に充填する必要もない。根管口に3MIX+α-TCPを載せた後はエンドチップを上下させながら根管内部に広げるだけだ。根尖をオーバーして出血しても、排膿していてもそのままで良い。余剰水分や出血・排膿は綿球で押さえて、3MIX+α-TCPの50%クエン酸水練りをその上にディスポシリンジに入れてその上に充填する。その上はCRのボンディングシステムでカバーして根管治療は終わる。この時の留意点は辺縁漏洩がないことだ。漏洩があると失敗する。心配なら抗生剤等を処方する。3MIX+α-TCPの1回目2回目歯質をCRのボンディングシステムで完全にカバーする。象牙細管をCRでカバーしないと細管を通して漏洩する可能性が高くなる。だからこのままCRで歯冠を再建するのが最も予後が良い。アンダーカットがないのが前提の口腔外で作るインレー・クラウン(標準治療なのだが工学的には構造的な欠陥がある)は必ずセメントの接着剥がれが起こり漏洩して失敗する。完全に支台歯をCRで覆うことができれば良いが。こんなのとか。口腔内で歯冠を作る技術を多くの歯科医師は持ち合わせていないと思うが、患者のためを思えば技術を習得するべきだ。僕も根管治療に使う時間よりはるかに長い時間をこの後の歯冠再建に使っている。次回は1年後の再治療だ。つづく