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みなさんこんにちは西濃県事務所です。 今回は、海津市南濃町の砂防学習施設、「さぼう遊学館」にお邪魔しました
さぼう遊学館は平成6年、羽根谷だんだん公園内に設立された全国初の砂防学習施設です。 養老山地東側に位置するこの羽根谷に全国初の砂防学習施設ができたのは、かつて大雨のたびに土砂が流出し、そのたびに対策工事が行われてきた歴史を背景に持つなど、砂防を学び、体感する場としてふさわしい環境にあるからです。 海抜0メートル地帯のある西濃地域には、他にも輪中堤や水屋など伝統的水防施設が豊富に存在していますが、さぼう遊学館もそのひとつと言えるのかもしれません。
入り口横には、日本の河川改修・砂防工事を体系づけたことで名高いヨハネス・デレーケの像が。デレーケといえば明治時代の木曽三川分流工事で有名ですが、実は羽根谷だんだん公園内にも、デレーケの指導により設置された巨石積堰堤(えんてい=治水や砂防を目的に河川を横断してつくられる堤)が今なお残っています。 その堰堤がこちら(それぞれ上下から眺めた写真) 大きさにして幅約52m、高さ約12mと国内最大級を誇り、今も現役で役割を果たしているのだそうです。こちらは明治21年に完成した第1号堰堤で国の登録有形文化財にも指定されていますが、同じような堰堤が養老山地にはたくさんあるとのこと。羽根谷は桜の名所としても有名なので、お花見がてら堰堤めぐりしてみるのもいいかもしれません。 さぼう遊学館から堰堤までの道中、こんな看板を発見。 保安林の枝葉や根が、大雨の際土地を覆い、土壌を締め付けることで土砂の流出防止に寄与している・・・と説明しています。 実はこの、「洪水を防ぐため草木の無い山野に植樹をする」という発想もデレーケの指導に基づくものです。「川を治めるために、まず山を治める」という論理はデレーケの治水工事の大きな特徴であり、同時に、山や谷の多い日本の治水事業にとって非常に重要な着眼点でもありました。羽根谷も当時は草木がまばらで整備されていない荒れ山でしたが、クロマツの植林が徐々に結実したことで、大規模な土石流は次第に減っていったそうです。
保安林や堰堤を備えた現在の羽根谷近辺の模型が、さぼう遊学館内に展示してありました。 今でこそ美しく整備されている様子が分かりますが、養老山地一帯の地質は脆く、水が浸み込みやすいため、過去には何度も土石流災害の原因となったそうです。 館内には、堰堤の有無で土石流の規模の違いを学べる実験装置もありました。 頂上から砂利を流すと、堰堤有りの場合はほとんどの砂利がせき止められるのに対し、堰堤無しの場合は砂利がそのまま下流に達するため、周辺建物等に大きな被害を与えます。
さぼう遊学館内には、他にも、見て学べる映像学習室や、遊んで学べる遊戯スペース(パソコンゲーム、サイクルゲーム「土石流とおいかけっこ」等)が設けられており、子どもでもより楽しく身近なものとして砂防について学ぶことができるよう、工夫が施されています。 ちなみに、ミナモの隣にいる緑色のゆるキャラは、過去に地元の子供たちがデザインを考案したさぼう遊学館のシンボルキャラクター「いぬりゅう」といいます。龍がモチーフとなった由来は、旧南濃町を南北に走る山々の形が龍の姿に似ているからだとのこと。下の写真を見ると、確かに龍のカタチに見えますね さて、ここまでさぼう遊学館についてお伝えしてきましたが、いかがでしたか 西濃地域には今でも様々な砂防・水防施設の名残がみられるため、身近な地域の歴史を予め学んでおくと、近くを通りかかった時などに違う視点で見られるかもしれません。 今回の記事でさぼう遊学館が気になったという方は、ぜひ一度足を運んでみてください
〇さぼう遊学館〇 住 所: 岐阜県海津市南濃町奥条 T E L: 0584-55-1110 利用時間:午前9時~午後5時 休 館 日: 毎週月曜日(月曜日が休日の場合はその翌日) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
February 2, 2016 09:12:40 AM
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