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カテゴリ:TRIP & TRAVEL
少し日にちがあいてしまって、気持ちの上でもひと段落。
前段の「遠野」とはまるで違う「遠野」を見ていただきたく、この2日間、記憶の不確かな部分や専門的すぎる点を調べたりして大きく脇道にそれるなど、ここを書く分だけでも充分楽しんでしまった。。。 さて、前日の夜、 食べきれないほどの夕食と 心地よい酔いをもたらしてくれた「どぶろく」と 寒い大出の夜を気遣って用意してくださった電気毛布 そのおかげで、12時過ぎにはぐっすりと眠ることができ、翌朝、洗面と着替えをして、階下へ降りた。 約束の5時30分、牛乳の搾乳現場 朝6時前には集乳のタンクローリー車が来るという。 5時30分は早朝とはいえ、酪農農家としては決して早い時間ではないので、ご家族の皆さんは、もうどなたも家の中にはいない。 玄関には、私のための「つなぎ」と、帽子、手袋、長靴などが置かれてあったので、それらを身につけて、牛舎へ。 十勝の農家に親戚があり、子どもの頃に牛を身近に見ていた私にはン十年ぶりの酪農家の現場体験でもあり、牛舎に入っただけで、胸にせまるものを感じてしまった。 やはり、子どもの頃に見た現場とはかけ離れていたが、動物を養って恵みを得ることの過酷なまでのたいへんさは肌で感じることができた。 規模も子どもの頃に見た数頭の牛舎とはまるで違う。 ここには40~50頭もの牛がいて、そのうちの状態の良い何頭かが今日の搾乳対象らしい。 一頭ずつタグで管理されている牛の消毒した乳に消毒したミルカーが装着されている。 最も菌の混入しやすい工程なので非常に気を使う。 一頭分ずつ貯めて人が運ぶバケット方式ではなく、パイプライン方式で集められ、処理経路を通す。 ほぼ自動とはいえ、パイプ内の日々の洗浄も大仕事だ。 大きなタンクに、処理されたMILK(ナマ乳)が満々と溜まる。 保冷車であるタンクローリー車が来た。 品質検査用のサンプルが取られる。このサンプルの一部は菌の混入を検査するために一般的には48時間培養される。抗生物質残留などがないか、また、脂肪分その他の分析もされる。 各農家ごとの管理伝票がタンクローリー車からその場で発行される。一頭ごとの耳のタブと合わせて、 トレーサビリティ(あと戻り追跡)システムの一環にもなっている。 この生乳集乳車の方と、しばらく話すことができた。 邪魔にならぬよう、好奇心の強い牛を刺激しないよう、カメラのフラッシュも最低限にして見学していた私に、 「どっから?」 と。 私は、 「 大阪から...... でも北海道の十勝に親戚がいて」 と。 そうすると嬉しそうな笑顔で、 遠野へ酪農業を持ち込んで指導したのは 十勝の○○さんなんだよ! と、急に話が弾みだした。 遠野と十勝の農家は、今でもたいへん深いつながりがあるということだ。いつも十勝を第二の故郷と言っている私にはたいへん感慨深いものだった。 ミルカーの装着も消毒と併せてたいへんな作業だが、ミルカーが動き出したとて、お母さんの手による搾乳は平行して行われる。品質が規格を満たさない牛はこうして、手で、「乳を捨てるために」搾る。ちゃんと搾らなければ乳房炎や乳腺炎を起こしたりするから、気を抜けない。 毎日のことなので、お母さんはこともなげにやっているが、この作業は、見ていても切なくなる。 このあと、私にも「乳搾り体験」をさせてくださった。 面白かったけれど、難しい・・・。とてもこんな風にほとばしらせるようにはゆかないものだ。 動物を飼育するにはまず、飼料にたいへんな気配りをする。乳牛のように品質に直接影響するものは、特にそう言える。 また、牛も鶏も豚も、生き物であるからには糞もする。トイレにしてくれるわけではない。 環境が劣化するとストレスからの病気にもなる。 消費者に届けられる「安全な食」は、このような酪農現場の凄まじいまでの努力で実現している。 流通してしまったものは仕方がないとうそぶくお歴々は、 この現場を見ないし、知らない。 剛毅を気取って、 狂牛病の牛にあたるかどうかは交通事故よりも確率が低い と豪語する消費者も、この現場を知らない。 アメリカでは消費者に知らされていないだけなのに、 「日本は騒ぎすぎだ」という人々も、 このような、「農家の現場」を見ようとしない。 無知は罪とされてマリーアントワネットはギロチンだ。。。 と、ややエキサイトで話がそれたが、 酪農家の果てしない努力に深く敬意を! ということで。 前の晩、あんなにたくさん頂いたのに、朝早くから動いたので、ちゃんとお腹が空いている(笑) で、これが朝ごはん!! お替り自由のお鍋まであるが・・・ もちろん、お替りは無理です!(笑) でも、こんなに美味しい朝ごはんは何年ぶり?というくらい美味しい朝ごはんで、画面からはみ出してしまって写ってはいないが、 HOT MILK もまた、大満足の濃い美味しさだった。 自分でも意外なことに、食後、飲もうとMILKカップを手にする前に、その一杯のMILKの前で思わず手を合わせて、改めて「いただきます」と言ってしまっていた。 結局、夕べの山女魚の天麩羅は、最初から食べられるわけがないと判断されてしまったようで、テイクアウト用に(笑)アルミホイルに包んでくれていたが、あとで、コレが、たいへん助かることに・・・。 この写真、江川さんのおばあちゃんのとてもステキな表情で、最高に気に入っている1枚なのだが、やはりブログにアップの顔写真はまずいかと、このサイズで。 本当はこの笑顔の表情をご覧いただくと、私がどんなにステキにもてなされたか分かっていただけるのだが、残念! この写真を撮らせてもらっているときに、山側に長く伸びた細い道を、遠くから、江川さんのおじいちゃんが戻ってきた。養殖池の見回りか、一仕事を終えて、これから朝ごはんなのかなぁという感じだった。 言葉では言い尽くせないほど、お世話になった、 MILK INN 江川 の、入り口看板。 雪が深い。 走る車のフロントガラス越しで、ヒドイ画像だが・・・ 前日到着の際にはもう暗くて見えなかったが、バスも途中までしか来ない、この道を上って来たのだ。 こうして、帰りも、来た時と同じく、若いお嫁さんに、遠野駅との中ほどに位置する伝承園まで、しかも途中、ぜひ寄りたかった早池峰神社にも立ち寄りながら送っていただいた。 ランキング登録中クリックで1票どうぞよろしく。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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