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カテゴリ:大連の暮らし
ロケットのような猛スピードの経済発展を遂げる中国。この巨大な国の各都市は、全世界が圧倒されるような、ものすごい活況に沸いています。
先日、面白い記事を読みました。私の住む町・大連の経済統計数値が発表されました。それによると、2004年の大連経済は年16.2%成長を遂げ、史上初めて、一人あたりGDP(域内総生産)が4000米ドルを超えたそうです。 もっとも、中国の都市の場合、この「一人あたり」というのが曲者で、4000米ドル超という数値は、GDPを「戸籍人口」で割ったものですが、実際は「戸籍人口」の他に、大連戸籍を持たないのに大連に居住する人間が多数存在しますので、彼らを計算に入れると、もう少し(1割くらい?)数字は低めになります。とはいえ、3000米ドルを超えているのは間違いないでしょう。 一般的に、一人あたりGDPが3000ドルを超えると、「経済離陸(テイクオフ)」とよばれる段階に入ります。そろそろ「発展途上国」を卒業して、「中進国」の仲間入りを果たし、同時にクルマを持つ人口が爆発的に増え、都市中産階級の層が厚くなります。アジアでは、日本、香港、シンガポール、台湾、韓国、マレーシア、タイ(バンコク都市圏)などが、すでに経済離陸を果たしたとされています。 中国は面白い国で、広い内陸農村部を含めた国全体でいえば、まだまだ発展途上国の段階ですが、その国土の中に、「中進国」の段階に達した都市や地域が、飛び地のようにいくつか存在しています。 その最たるものが、広州・深セン;を核とする広東省の珠江デルタ地域と、上海を中心とする長江デルタ地域です。特に深セン、広州、上海の一人あたりGDPは6000米ドルのレベルに達しています。次に豊かなのが北京で4000米ドル強、大連の富裕度はその次くらいに位置し、天津とほぼ同レベルです。 東北地方のなかでいえば、大連は飛び抜けて豊かな都市です。都市規模でいえば隣接する瀋陽の方がずっと大きいですが、瀋陽の一人あたりGDPや可処分所得は大連より2割ほど低い。その差は主に、「国際経済との結びつき」から来ています。大連の対外輸出総額(2004年)は116億米ドルもあるのに、瀋陽のそれは23億米ドルに過ぎません。瀋陽よりもっと北、長春やハルビンに行けば、海外からの投資や対外輸出はごくわずかとなり、経済近代化の程度はさらに遅れます。ましてや農村部に行けば、未だに自給自足経済に近い状況があります。 数字と地名の羅列ばかりやってしまって恐縮ですが、今の大連が、「発展途上国の中にぽっかり浮かんだ中進国」であることが、お分かりいただければ幸いです。 ところで、こういう都市で暮らしてみると、結構「おいしい思い」ができたりします。大連が中進国なのに、周りの農村部や小都市は発展途上国状態ですから、大連に移住して来て安い労賃で働いてくれる人間など、いくらでもいる。だから、マンションに住んでも、清掃人、管理人、警備員を、安い値段でいくらでも雇えますし、また彼らの胃袋を満たすために、わずか2元(26円)のラーメンが広く出回るから、我々がそれにありつくこともできるわけです。 あと言うと、中進国の状態にある都市って、結構、居心地がいいです。誰もが、「来年は今年より、再来年は来年より、きっと豊かになってるはずだ」と考えているからでしょうか、街全体が上昇志向と若々しさに満ちています。もちろん、都市問題は山積みだし、また先進国のような政治的自由もないし、自由に海外旅行できるわけでもないですが、それでも、いま大連に住んでいる人の表情は、東京やシドニーの住人より、全体的に活き活きしているように見えます。 たとえ幻想であっても、「わが町は、これからどんどん発展するんだ!」という幸せ感を、住民の多くが共有している街は、やっぱり、幸せなんだと思います。これは、「先進国に比べて、経済発展の余地が大きい」という意味での「発展途上」国(と中進国)の特権なのかもしれませんね。こう感じるのは、やはり私が先進国で育った人間だからでしょうか・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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