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2009.11.02 楽天プロフィール Add to Google XML

映画「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」@109シネマズ川崎 辛口映画批評(399)」
[ 劇場鑑賞 ]    

 日曜日のファーストデイと言う事で客席は満席だ。意外な事に小さなお子さんを連れた家族客が多数いたことだ。
  

 映画の話
 2009年6月、1か月後に迫ったロンドンでのコンサートを控え、突然この世を去ったマイケル・ジャクソン。照明、美術、ステージ上で流れるビデオ映像にまでこだわり、唯一無二のアーティストとしての才能を復帰ステージに賭けながら、歌やダンスの猛特訓は死の直前まで繰り返されていた。

 映画の感想
 元々、商業用としての撮影されていないビデオを編集して作られた作品なので、ドキュメント作品としては並であるが、生前のマイケル・ジャクソンの歌い踊るパフォーマンスが「これでもか!」と収録された映像は大変貴重だ。

 映画は最後のライブでマイケルと共に一緒にパフォーマンスをするはずだったダンサー達が、マイケルに対する賞賛の声で幕を開ける。そして、マイケルのパフォーマンス映像が映し出される。曲はアルバム「スリラー」の1曲目を飾る「スタート・サムシング」だ。耳に慣れ親しんだ独特のベースラインに乗り、リハーサルなので歌詞が抜けたり、ヴォーカルもフルボリュームではないが私たちが知る、いつものマイケルが元気な姿で歌い踊る姿を見るだけで鳥肌が立ち目頭も熱くなる。

 ステージはマイケルのライブでは御馴染みのトースター(舞台下から演者が飛び出てくる仕掛け)で、4名のダンサーも加わりマイケルを中心に左右に2名ずつのダンサーをしたがえる5人体制の群舞は、マイケルの中では多分“ジャクソンズ”時代からの基本フォーメーションなのだろう。

 ステージで披露される楽曲はマイケルのソロアルバムの「スリラー」「バッド」「デンジャラス」を中心としたヒット曲のオンパレードで“ジャクソンズ”の楽曲も2曲も演奏されている。中でも興味深いのは「スムース・クルミナル」だ。

 この曲とシンクロさせて多分、ステージ上のモニターで流す映像なのだと思うが、マイケルがリタ・ヘイワース主演「ギルダ」(1946年)
の白黒映像世界の中に飛び込み~ハンフリー・ボガードのギャングに追いかけられる楽しい映像だ。それもマイケルの衣装は「スムース・クルミナル」PV版と同じ白のスーツに青シャツと言うのもファンとして嬉しい。

 続く「ザ・ウェイ・ユー・メイク・ミー・フィール」はアルバムのゴリゴリとした打ち込みサウンドとは打って変わる、メロウでスムージーなオープニングから、御馴染みのゴリゴリのサウンドに変化するアレンジが新鮮である。この曲のリハーサルではキーボーディストがコード(和音)にテンションを加えたコード進行にした事に、マイケルが駄目出しするところが興味深い、マイケルは「観客が聞きたい音にしなければ駄目だ」と、あくまでも観客目線を忘れていない所が凄い。

 このライブで歌われる楽曲のアレンジを聴くと、ほぼアルバムのオリジナルアレンジを忠実に再現していて、変にアレンジをアコースティックバージョンとかにしないのがマイケルのこだわりなのだろう。特にクインシー・ジョーンズがプロデュースした「スリラー」「バッド」収録曲の鉄壁なサウンドは今聞いても最高であり、ジェリー・ヘイが手がけたホーン・アレンジもサンプリング音を使い忠実に再現しているのも良い。

 続く、デュエット・バラード「キャント・ストップ・ラヴィング・ユー」のマイケルのボーカルを聞くと、改めて「マイケルはダイアナ・ロスをリスペクトしているんだな」と感じてしまった。マイケルは照れながら「思わずフルボリュームで歌ってしまった」といい、その姿に歓声を上げるダンサー達の本当に嬉しそうな姿が印象的だ。

 そして、このライブで目玉となるのは「スリラー」だろう。このライブの為に新たに製作されたゾンビたちの3D映像と、ステージのパフォーマンスは是非完成形を見たかった。

 続く「今夜はビート・イット」はライブのハイライトである。PVの構成をステージで再現する訳だが、このパフォーマンスは、私が87年に後楽園球場で見た「bad Tour 1987」とほぼ同じ構成で、エンディングにマイケルがステージで回転~寝転がり~腰を浮かせながら足をバタバタ動かすパフォーマンスは、87年の時とまったく同じで「おーっ、まだ相変わらずやってるよ」と一人で笑ってしまった。

 続く、環境保護を訴える「アース・ソング」はビデオ映像とシンクロして、最後にはブルドーザーがステージ上に登場するパフォーマンスが用意されていたようで、これも完成形を見たかった。

 そして、マイケルのダンスが冴えまくる「ビリー・ジーン」は、“ムーン・ウォーク”さえ見れなかったが、元気なマイケルのダンス・パフォーマンスが見れて良い。ステージ下のお客さん状態のダンサー達も大喜びである。

 映画はメッセージ性のある曲「マン・イン・ザ・ミラー」を経て、これからの本ステージの成功を仲間と誓い合うマイケルと高揚するキャストたちの姿で幕は閉じられる。未発表曲「THIS IS IT」は詳しいデータが無いので不明であるが、声の感じからすると「オフ・ザ・ウォール」の頃に作られた曲ではないだろか?マイケルの歌声にジャクソンズのコーラスが加えられた美しいバラードだ。

 本作はライブ開催前のリハーサル映像と言う不完全な形を観客に見せると言う事で、完全主義者のマイケルにとっては不本意な作品である事は確かであるが、ファンとしては彼が世界最高のパフォーマーと言う事を改めて確信すると共に、彼が残してくれた最後の置き土産の様に感じてしまった。映画終了後にはいつもクールな川崎のお客さんたちが自然に拍手していた。リハーサル映像でここまで観客の心をつかめたのであるから、完成形のライブは素晴らしいパフォーマンスになったの事だろう・・・。

 ありがとう、私たちを楽しませてくれた世界最高のエンターティナー、マイケル・ジャクソン。

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最終更新日  2009.12.02 00:18:48
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