押見修造「ハピネス」(講談社)既刊5巻
4巻までを読んだ。
誠が連れてきた勇樹を、ノラが殴り回し、拒絶する場面。
「こいつは真っ黒なにおいがする。
マコトはこいつといると破滅する」
とノラは言う。
さまざまな局面で「逃げる」という選択肢が存在する人と、存在しない人がいる。
たやすく逃げるかどうかは、自己肯定感の低さ、普段から抱えている不能感の大きさのためかもしれない。
そこで、一人で逃げるのならまだいいが、精神の安定のために、仲間を得ようとする場合がある。
いちど「仲間」と認識したら、その人のことをずっと自分と同一視し、自分と同じ道を歩み続けないと「裏切り」と認識する。
そういう人はどうしようもなく自分の身を滅ぼすだけでなく、他人を道連れにして破滅していくのだろうと思う。
人格形成の重要な幼少期から、たえず自分ではどうしようもない大きな力に翻弄され続けた人の特徴かもしれない。
たとえ自分が大きな力を手にしたとしても、その力に翻弄されてしまい、他人を巻き添えにして自分の身を滅ぼす。
そんな姿を描いているのが、どうしようもなくリアルだと思った。
とても悲しい。
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