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2005年02月08日
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カテゴリ:考える
武士道は、最近あちらこちらで聞く言葉だが、今ひとつ自分とは関係ない気がしていました。

しかし、私はデザインの本からたどり読むことになりました。

「日本的なものをたどるのに、お勧め」との言葉は裏切らず、非常に広い意味を読み取ることができる本です。

『「武士道」新渡戸稲造著 岩波文庫』


『武士道は上述のごとく道徳的原理の掟(おきて)であって、武士が守るべきことを要求されたるもの、もしくは教えられたるものである。それは成文法ではない。精々、口伝により、もしくは数人の有名なる武士もしくは学者の筆によって伝えられる僅かの格言があるに過ぎない。むしろそれは語られざる書かれざる掟、心の肉碑に録された律法たることが多い。』

ちょっと、硬い語り口は私としてはいささか読みはじめにくいものがありました。

しかし、大丈夫です。

この本は、文字でない形で受け継がれてきた武士道を理解してもらうために、また、世界の人に理解してもらうために、たくさんの引用、例えで武士道を語っています。

それぞれの章のはじめの方に、武士道の大事な要素がかかれています。

武士道が仏教、神道から深い影響を受けていること。

武士の掟(おきて)には義、勇、仁、礼、誠、名誉、忠義があること。

その訓練教育の実際や社会背景などなど。

それを拾い読みするだけでも、武士道のエッセンスは十分理解できます。

次に章の終わりの部分も、チェック。次章との内容のつながりが書かれているので、本の構造がわかります。

その他の引用や例えに目を通すことで、武士道と哲学、歴史、世界とのつながりを感じることができます。

聖書からアリストテレス、経済学の引用まであるので、時間をおいて何度も再読する面白さをもてる本だと思います。

『レッキーの数えたる信実の三つの誘因、すなわち経済的、政治的、および哲学的の中、第一のものはまったく武士道に欠けていた。第二のものも、封建制度下の政治社会においては多く発達するをえなかった。』

武士道の限界点についても述べられていることも、本書のバランスのよさのひとつです。

著者は武士道の限界に対し、著者なりの回答を一つ一つ提示して「どうだろうか?」と読者に問いかけているので、そういった部分で著者と対話してみるのもひとつの読み方です。

ちなみに、引用の経済に関する新渡戸氏の答えは『正直は最善の政策なり』。

私なりに、ふと惹かれた一文は、

『じっさい日本人は、人生の弱さが最も酷しき(きびしき)試練に会いたる時、常に笑顔を作る傾きがある。・・・・・・・・けだし我が国民の笑いは最もしばしば、逆境によって乱されし時心の平衡(バランス)を回復せんとする努力を隠す幕である。それは悲しみもしくは怒りの平衡錘(へいこうすい)である。(門間より:一部旧字体がPCで変換できず、最近の漢字使用)

 かくのごとく感情の抑制が常に要求せられしため、その安全弁が詩歌に見出された。』

という部分でした。う~ん、詩歌か、と、日本人が昔持っていた武器を新たに発見した気分でした。

抑制には大きなストレスがかかります。

それを、表現に変換する手段を持つことは、生活するうえで、とても大きな武器を持つことと同じです。

二人のひとに同じ力で、同じようなストレスがかかったとします。

その時、ストレスを変換できる手段をもつ人は、変換できないひとより力を発揮することができます。

昔の日本には、詩歌という粋で深い武器があったことを再認識しました。





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最終更新日  2005年02月08日 12時36分50秒
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