5月31日(土) 愛しい人が通る道
5月31日(土) 愛しい人が通る道 今から約千二百年も前にまとめられた『万葉集』には、日々の仕事の中でうたわれた歌もあります。麻の布を晒す仕事の中でうたわれたものを紹介します。 多摩川に 晒す手作り さらさらに 何ぞこの子の ここだ愛しき 歌の意味は、「多摩川にサラサラと晒す手作りの布ではないが、どうしてこの子が、更に更に、こんなにも愛しいのか」という意味です。 多摩川は、東京都と神奈川県の県境を流れる川です。麻布を川に晒す労働も、このような歌をうたいながら行なえば、疲れも軽くなったことでしょう。 次は、信濃の国の歌です。信濃は今の長野県で、奈良の都から信濃の国に通じる立派な官道が、この時代に新たに完成しました。 信濃路は 今の墾道 刈株に 足踏ましむな 沓はけわが背 この歌は「信濃路は、森を開墾していま出来たばかりの道です。切り株を踏んで足に怪我をしないように、履き物をはきなさい。愛しい夫よ」という意味です。 愛しい人が通る道を作っていると思えば、頑張り甲斐もあったことでしょう。 今日の心がけ◆仕事を楽しみましょう職場の教養は社団法人倫理研究所が発行している月刊誌です。著作権は社団法人倫理研究所にあります。掲載しているこの文章は、知的障がいをもつ弊社のO君が、トレーニングのために入力してくれているものです。こうして発表の場がありますと彼の喜びにつながります。やりがいと喜びは継続の源泉になり、2001年5月から現在までずっと続いています。O君のやりがいに繋がっていることを勘案して公開しています。