この著者の本はペペロンチーノとハンバーグとチャーハンだが、それぞれ一冊だ。実用的にはどうでもよいことを真面目に実証しようという態度が道楽的で良い。料理は工作という道楽の一部門と位置づけている私にぴったりだ。この本は、シンプルな卵入りチャーハンを美味しくパラパラにする方法を各種パラメータをいじって検証している。
この本に、家庭の普通の道具でチャーハンを作るときに、一回で作る量はご飯が230gが限界と書いてある。著者の標準のご飯の量は一人あたり200gだから二人分をいっぺんに作るとパラパラにならない。これは私も実感するところで、一人分を作れば美味しくパラパラにできるが二人分だとどうやってもパラパラにならない。これは実用上問題だ。家庭でチャーハンを一人分ずつ作るなんてあり得ない。
今回「ホシユタカ」という日本産の長粒種を使ってチャーハンを作ったが、これは米一合だ。炊く前が145g、炊きあがって338gだから普通の米を使っていたら美味しくパラパラにならない量だ。しかし、ホシユタカなら何の問題もなくパラパラになった。
また、この本の著者は炊きたてのご飯はうまくいかず(水分含有量が多すぎるという考察だ)、冷たくしたご飯で良い結果を得ている。だが、今回のホシユタカは炊きたてでチャーハンを作ったが、問題なくパラパラになった。実用上は炊きたてのご飯でチャーハンを作るのもありだが、我が家では冷凍したご飯を電子レンジで解凍して温めて作ることが多い。二人分だけ炊くより効率が良いからだ。ホシユタカも3合くらい炊いて四等分して冷凍するのが便利な気がする。今回の一合(=338g)は我が家の炊飯器が炊ける最小量だが我々二人にはやや多すぎるのだ。冷凍してあるご飯でチャーハンを作るのは調理時間がとても短いので、手早く昼食を準備するのに都合が良い。