散文小径

　八犬伝じゃない里見の歴史、みんなはどこまで知ってるかな？
　さあ、一緒に追いかけてみましょう。
　時は戦国ただなかへ、いざ、出陣。


　里見義康の正室論


　里見義康の正室は、房総の眷属ではないという説があります。どこからきた女性だったのか、風聞諸説によると、ビッグネームに行き当たります。
　織田信長。
　えっ？信長の娘？
　いやいや、早合点しないでください。織田信長の系譜を紐解くと、その出生男女は明確に記録されています。ましてや女性について、信長は個性的な名前をつける傾向にありました。子どもたちの存在や、その行方。記録はしっかりとしております。

【記】
〈信長娘〉
　徳姫（見星院）（長女、松平信康妻）
　冬姫（相応院）（次女、蒲生氏郷妻）
　秀子（日栄）（三女、筒井定次妻）
　永姫（玉泉院）（四女、前田利長妻）
　報恩院（五女、丹羽長重妻）
　三の丸殿（六女、豊臣秀吉側室・二条昭実妻）
　於振（水野忠胤妻・佐治一成継室）
　鶴（中川秀政妻）
　万里小路充房妻
　徳大寺実久妻
〈信長養女〉
　遠山夫人（武田勝頼正室）
　女子（二条昭実妻）
　織田信広の娘（丹羽長秀妻）
〈信長猶子〉
　五宮邦慶親王（誠仁親王の第五皇子）

　諸説風聞曰く、里見義康の正室は織田信長の養女とも姪とも孫とも、なんとも輪郭のぼやけた表現で伝えられております。ただ、圧倒的な存在感のある、織田信長というネームバリューが光っている次第。
　信長と里見家、どこで接点があるのでしょうか。
　正史の表面からその考察の術はございません。武田家同様、甲江和与の頃に佐竹を介したという考え方も自然ではありません。また、正反対に、武田を滅ぼす布石として接触したとも考えられます。どちらにせよ、天正年間、義頼の代に外交の類が行われていたと推測するのは、易いことでしょう。
　養女にしろ何かにしろ、信長というネームタグの付いた婚姻相手が里見家に来たということは、何かしらの外交成果に他なりません。ましてや厚遇といっても過言ではないでしょう。
彼女の事跡も、明確なものが残されていません。里見忠義の生母という記述だけです。
　ちょっとドラマ性に欠けますね。
　なので、創作する側としては、思い切って
「好きにいじる」
ことをやらないと、欲求不満になりそうです。だから、やりたい放題やってみました。

　女性が生き生きしないと、物語が弾まない。

　これは夢酔の作品観のひとつです。あくまでも、夢酔の、です。
　むさくるしい男たちが切磋琢磨する戦場は躍動感ありますが、それだけでは……ねえ？
夢酔は彼女の設定を、織田（神戸）信孝お付の女性から生まれたという設定にしました。ただし、その実、胤が信孝のものとは、限りませんよね？信孝は柴田勝家に付いたことにより、秀吉から一族絶やされた筈でした。しかし、正式に信孝に認知されず野にあったことで、彼女は九死に一生を得ます。
　その身柄を保護したのは、千宗易。
　そう、千利休です。ここに利休を設定することは、里見にとっても大きな裏設定となっていくのですが、利休を語るのは、別の儀に。この娘は利休に茶を仕込まれたことで、のちのち窮地に立たされる里見家を救う標となっていくのです。
　この設定は、ごくごく自然に想像されましたので、後付も特に考えず、勢いに任せて描くことが出来ました。彼女に関しては、草稿段階から房総里見会でも受けが宜しかったので安堵しております。

　この女性の実像。
　知らぬままの方が楽しいのかも知れませんね。



　戦国武将里見氏のNHK大河ドラマ放映を目指す「里見氏大河ドラマ実行委員会」が組織されています。里見氏終焉の地である鳥取県倉吉市、里見氏発祥の地の群馬県高崎市、そして館山市で、NHK側にドラマ化を働きかける運動を行っております。
「2014年に里見氏の物語をNHK大河ドラマで！」
　皆さまの温かいご声援をお願いします。
　お問い合せ先は、こちら。
　房総里見会事務長
　　　鈴木惠弘
　　　　〒294-0027　千葉県館山市西長田７２







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