コーヒーが緑内障に悪いって本当なの?
大抵月に2,3回は患者様から質問されるのが、上記の「コーヒーが緑内障に悪いって本当なの?」という質問です。似たような質問に「お茶を飲み過ぎると緑内障に悪いの?」、「水分・お茶・コーヒーの飲み過ぎで緑内障になるの?」といったものもあります。 今日は、これらの質問にまとめてお答えしましょう。 まずなぜこのような質問が良く出てくるのかなんですが、数十年前までは「緑内障患者さんは水分・コーヒー・刺激物は絶対ダメです。厳しく制限しましょう」というようなことが眼科の教科書にも書いてあったり、広く雑誌やテレビでも言われていたようです。 また現在でも今でも一部のメディア、特に健康食品業界などに顕著なのですが、「コーヒーは絶対にダメ、代わりにこの最高品質のブルーベリーのサプリメントを!」などと言うような、患者様を脅かして不安を煽って商品を買わせようという悪趣味な宣伝方法を採用しているところがあり、それが今でもこの手の質問が絶えない原因になっているのだと考えています。 では次にコーヒーやお茶の何が緑内障に悪いのでしょうか? 答えはこれらに含まれる 「カフェイン」 です。カフェインに眼圧上昇作用があることは古くから知られており、カフェインの取り過ぎが緑内障に良くないことは事実なのです。 ただここで問題なのは「どれだけカフェインを取れば眼圧が上がるのか?」ということです。2005年にオーストラリアで3654名を対象に行われた大規模で信頼性の高いスタディによると、「一日にカフェインを200mg以上摂取した人の平均眼圧が19.5であり、200mg以下の人の17.1に対して有意差を付けて高かった」とあります。 ということは、一日に摂取するカフェイン量を200mg以下にしておけばほとんど問題はない ということです。食品に含まれるカフェイン量は一杯あたりで、 緑茶30~50mg、紅茶50mg、インスタントコーヒー60mg、豆から挽いたコーヒー100mg、コカコーラ1缶(350ml)35mgくらいですので、緑内障のある方は「インスタントコーヒーなら1日3杯まで」くらいのことに気をつけられたら十分かと思います。 眼科専門医の立場からすると、 「緑内障だからと言ってコーヒー摂取に過度に神経質になる必要はない。ブルーベリーの高価なサプリメントもいらない。そんなことより毎日きちんと緑内障の目薬を点すことに神経を使って。」 と考えています。