カテゴリ:本の感想(は行の作家)
本多孝好『真夜中の五分前 five minutes to tomorrow side-A』 ~新潮社~ 広告代理店につとめる僕の上司、小金井さんは、非常に有能なのだが、組織とはあわず、彼女を嫌う人間は多かった。僕の属する部署は、北陸の温泉地の町おこしにたずさわっているところだった。 仕事に忙しく、最近微妙な空気を感じ始めていた恋人とも、久々の食事。それからしばらく二人の間で連絡をかわすことはなく、次にあったときは、二人の関係が終わった。 僕は暇になった終末、プールに行くようになる。そこで、自分の会社が扱った口紅を使っている女性に、ふと目がとまった。二人は目があい、どちらからともなく声をかけることになる。 素敵な物語でした。メモ程度にあらすじを書きましたが、そんなのどうでもいいと思うくらい。 一卵性双生児。似すぎている二人には、自分とはなんなのかが分からなくなってしまう。ふるまいもそっくりで。相手の話を聞くと、その場でどう感じたかがわかってしまうような。私は一卵性双生児の一人として生まれたわけではないので、実感がわかりません。ただ、アイデンティティだのなんだのいう悩みごとが、まったく別のレベルの話なんだ、というところに、少しずきっとしました。 僕と水穂さんの出会いの話も、よかったです。そして、ラストがとてもよかったです。そこへ収束する物語の流れ。語彙のなさに困りますが、素敵でした。 また、近いうちに『side-B』も読もうと思います。 ーーー トラックバック用リンクです。 でこぽんさんの記事はこちらです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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