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2007.05.30
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加納朋子『ささら さや』
~幻冬舎、2001年;幻冬舎文庫、2004年~

 加納朋子さんの(連作)短編集です。ちょっと短編各々の紹介を書くのが疲れてきたので、フリーページに挙げていた紹介をそのままひっぱってくることにします。

「トランジット・パッセンジャ-」普通の一日が送れたはずのあの日、俺は車にはねられて死んでしまった。俺の葬式の読経をあげたのは俺の昔の友人、細貝だった。俺は細貝にとりつき、サヤの元へ行く。その時、俺の骨壺がなくなったという事件が起こっていた。愛しい妻、サヤ。可愛い息子、ユウ坊は親戚たちがあやしている……。
「羅針盤のない船」サヤはなくなった伯母が住んでいた家に向かった。その家は、佐々良という町にある。大きなベビーカーを苦労しながら押してたどりついた家は感じのいいものだった。帰りがけ、ユウ坊がおっぱいをほしがっているのが分かっていたが、どうしようもない。そんな時におばあさんが声をかけてくれ、レストランに連れて行ってくれる。
「笹の宿」佐々良の家に引っ越してきたサヤだが、初日は電気などの手配がなく、やむなく旅館に泊まることに。旅館のおばあさんが色々話をしにきてくれた。赤ん坊の扱いも手慣れたもの。その宿で、穴を掘るような音が聞こえてきた。庭からだ。そして、「骨が出てきた」という声。
「空っぽの箱」今までに登場したおばあさんたちがサヤの家に遊びにきた。なんと彼女らは知り合いで、サヤの隣人の知りたがりのおばあさんまで登場。もちろん彼女もおばあさんたちの知り合い。サヤの伯母にあてられていた手紙。後で送ると書かれている荷物の箱の中にはおがくずが入っただけで、他に何も入っていなかった。
「ダイヤモンドキッズ」子供の健康のために一日数時間公園でぼうっと過ごそうとしていたサヤだが、時間帯によっては苦手なお母さんたちがたむろしている。妙な協会に勧誘された時、彼女を救ってくれた派手な格好のエリカ。サヤが通う公園を変えてから、時々エリカと会うようになった。そんなある日のこと、例によってサヤの家におばあさんたちがたむろしている時に、ベビーカーの中から脅迫状が見つかった。ユウ坊はそこで元気に遊んでいるというのに……。
「待っている女」おしゃべりおばあさんとは逆の隣人は、毎日玄関を開けっ放しにし、外を眺められるテーブルについて、ぼーっとしている。まるで誰かを待っているようなのだ。ところで、サヤが昼寝をしている時、ふと気付くとユウ坊が男に抱きかかえられていた。戦う姿勢を見せたサヤの前に……。
「ささらさや」ユウ坊を預かりたいと言い続けてくる義姉たち。ユウ坊がひどい熱を出した時、おばあさんたちが助けてくれようとしたのだが、一歩義姉たちの作戦の方が早く、ユウ坊はおばあさんたちも知らない病院に連れて行かれていた。そこにやってきたエリカが、奇妙なことを言う……。
「トワイライト・パッセンジャー」俺からサヤへの、最後のメッセージ。

 単行本と、文庫で一度ずつ読んでいるので、今回読むのが三度目ということになるでしょうか。いやはや、加納さんの本は繰り返し読んでいるなぁとあらためて思います。
 頼りないサヤを、ずっと見守っている「俺」。けれど、「俺」も、彼女の強さに気付きます。不器用にでも、それでもきっと起こることに対処していける。ユウスケとともに生きていける、と。
 サヤさんのまわりで事件が起こったとき、自分のことを見ることのできる他人に入って、彼女を助ける「俺」。そうして、事件が解決に向かっていく―というより、危機的な状況が去って安心する、という方がいまの自分の感覚にあっている気がするのですが、その過程がまず楽しいです。繰り返しになるのですが、安心します。
 けれど、「トワイライト・パッセンジャー」で、「俺」の決断することになります。その決断と、そこにいたる思考(いろんなことを思い出したり)には、やはり涙ぐんでしまいました。
 文庫版の解説を書かれている安田ママさんも、本書を読むときに、ティッシュかハンカチを用意することをすすめておられます。そういえば、「トワイライト・パッセンジャー」以外のお話でも涙ぐんだので、ハンカチのお世話になりました…。





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Last updated  2007.11.12 08:48:50
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