カテゴリ:本の感想(ま行の作家)
あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。 さっそく、本の紹介にうつりましょう。今年の1冊目は、森博嗣さんです。 森博嗣『もえない』 ~角川書店、2007年~ ノンシリーズの長編です。 まったく予備知識もないままに読んだのですが、割とミステリでした。犯人当てやトリックに重視があるのではなく、一人の少年とそのまわりの友人たちが織りなす物語が主軸ですので、ミステリとしてのウェイトは低いかもしれません。 では、内容紹介と、あらためて感想を。 ーーー 同級生の杉山友也の葬儀に参列した僕は、後日、担任から呼び出される。杉山の父親が面会にきており、彼から、一枚の金属のプレートを渡される。それには、アルファベットで僕の名前が書かれていた。杉山が栞として使っていたという。 僕は、杉山の生前、彼から手紙を受け取っていたことを思い出す。未開封のままだった手紙には、友人の姫野がある女性と付き合わないようにしてほしいと書かれていた。 杉山は自殺したらしいこと。手紙にあった女性も自殺していたらしいことなどを知る僕は、違和感からか、杉山の死の周辺の事実を調べていくが、それはやがて、閉ざされた小学生の頃の記憶をたどることにつながっていく…。 ーーー なんというか、クライマックスのあたりは他のシリーズでも定番の感じの展開でしたが、不思議と幻想的な雰囲気ももっているように感じる作品でした。 夢の描写が、詩的な雰囲気を演出するだけでなく、なにか過去にあるんだ、というもどかしさも示すような重要な役割も果たすのですが、一方で、やはりその幻想的な雰囲気が強いというか。 表紙が、なんだか哀愁を誘います。まさにこの表紙に抱くような感じを、読了後にも抱きました。 (2008年1月1日読了)
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[本の感想(ま行の作家)] カテゴリの最新記事
|
|