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2008.08.03
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血蝙蝠
横溝正史『血蝙蝠』
~角川文庫、1981年~

 昭和13年(1938年)~16年(1941年)に書かれた、横溝さんの11編の短編を収録した作品集です。では、それぞれについてコメントを。

ーーー
「花火から出た話」打ち上がった花火から落ちてきた花を拾った男が、怪しい男たちにつけねらわれてしまう、という話。この手のラストが好きです。

「物言わぬ鸚鵡の話」口がきけなくなった妹に友人から届けられた鸚鵡も、舌を切られていて鳴くことができなかった。鸚鵡の秘密を探る「私」は、恐ろしい背景を知ることになる。

「マスコット綺譚」幸運の護符を持っている女性が、自分の本当の幸せを考える話…とでもいいましょうか。手に入れたら急に幸せになるけれど、失ってしまった途端に不幸が襲ってくる…そんなマスコットを持った女優の早苗さんが主人公です。素敵な話でした。

「銀色の舞踏靴」映画を観ていた敏腕新聞記者・三津木俊助の上から、銀色の舞踏靴が片方落ちてきた。靴を落としたとおぼしき女を追うものの、女はきちんと靴をはいている。そんな中、当の映画劇場では、銀色の舞踏靴を履いた女が殺されていた…。
 三津木俊助と白髪の名探偵・由利先生が活躍する物語です。つかみが良いですね。

「恋慕猿」こちらも良かったです。いわゆるミステリとしての事件も謎解きもあるのですが、一途な猿の思いに、猿使いの男がもつ悲しい雰囲気、そして主役ともいうべき女給さんのひたむきな思いなどなど、読み物として面白かったです。

「血蝙蝠」若い男女が肝試しの舞台に選んだ「蝙蝠屋敷」で、グループの女が女性の遺体を発見する、というところから始まります。第一発見者のその女は、その後、不審な男につきまとわれ、後には、密室状況で何者かに胸を刺されてしまいます。
 本作も、三津木&由利先生の探偵譚です。こちらも、ラストが良かったです(ハッピーエンドとはいいませんが)。横溝さんの探偵小説には、事件に巻き込まれた人達のその後の人生にまで心配りがあり、それが魅力の一つだと思うのですが、本作でもそれを感じました。

「X夫人の肖像」絵画展に出品された絵のモデルは、5年前に失踪したお澄ではないか…。妻とともに絵画展に出かけた隆吉だが、二人は、まさにその絵が盗まれたことを知る。そして、画家に出会い、悲しい事件について知ることになる。
 こちらも良かったです。話の方向は違うのですが、どこか「恋慕猿」のような物語性を感じる作品でした。

「八百八十番目の護謨の木」ボルネオが舞台の映画を観ていた美穂子は、そこに恋人の無実を証明できる証拠を発見した。ボルネオの農園の長、緒方とともに帰国していた恋人は、その緒方殺害の容疑をきせられながら、姿を消していた。関係者とともにボルネオを訪れた美穂子は、その証拠を求めてオガタ農園を目指す。
 海外が舞台になる作品は、横溝さんの作品ではほとんど内容に思います。本作は、日本での事件の真相をおってボルネオに行くという、そのスケールの大きさが印象的です。

「二千六百万年後」表紙見返しの紹介によれば、横溝さん唯一のSF作品です。オチが時代性を反映しているためか、ちょっと唐突な感じも受けましたが、楽しく読みました。
ーーー

 本書も数年ぶりの再読なのですが、最後の二編は、印象に残っていました。どちらもスケールが大きいですから…。
 後の金田一耕助シリーズのような、ガチガチの謎解き物語は少ないですが、どれも面白かったです。
(2008/08/01読了)


*表紙画像は、横溝正史エンサイクロペディアさまからいただきました。





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Last updated  2008.08.03 08:00:52
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