カテゴリ:本の感想(あ行の作家)
浦賀和宏『彼女は存在しない』 ~幻冬舎、2001年~ 浦賀和宏さんのノン・シリーズの長編です。講談社ノベルス以外で発表した作品としては、その最初の作品になるかと思います。 それでは、内容紹介と感想を。 ーーー ある日、横浜駅前で貴治を待っていた私に、一人の女性が声をかけてきた。「アヤコさんではないですか?」と。私は人違いにきょとんとし、やって来た貴治とともに遊びに出かけた。 貴治と映画を観て、食べ物を買って帰る途中、私はふたたび、駅前にさっきの女性が立っているのに気付く。柄の悪い男たちに囲まれているのを貴治が追い払った後、私の不平もなんのその、貴治は由子と名乗ったその女性も家に連れて行くことにした。こうして、私と由子の奇妙な付き合いが始まった。 * 根本は、過去に父親を亡くしていただけでなく、母親も亡くし、妹と二人暮らしになった。大学三年生の彼は、叔父を頼りにしつつ、なんとか卒業しようと苦心しているところだった。ところが、妹に異変が起こっていた。人付き合いが苦手で外出も、まして外泊などするはずがなかった妹が、どこかに泊まってきた。彼女は、自分の記憶が飛んでしまっていることがしばしばあるという。そしてついには、兄である根本のことにも気付かないような素振りを見せる。 * 由子が貴治のもとを訪れた後、彼の部屋からナイフがなくなっていた。さらには、貴治も何者かに刺し殺されてしまう。由子に対する疑惑を高め始めた私は、さらに、彼女が多重人格なのではないかと思い至る。 ーーー これまたなんとも内容紹介が書きにくい物語です。 数年ぶりの再読で、なんとなく途中で真相に気付きましたが、真相を示す1シーンにはなかなか衝撃を受けました。とても良かったです。 読書ペースが落ちていくのもあり、貯金をがんばりたいのもあり、しばらくはこんな感じで、手元にあって記事を書いていない本の再読を続けていこうと思います。新たに本を買うこと自体も数少ない娯楽なので、もちろん未読の本も増えていくでしょうけれど…。 (2009/03/31読了)
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