カテゴリ:本の感想(あ行の作家)
浦賀和宏『地球平面委員会』 ~幻冬舎文庫、2002年~ 6年ぶりほどの再読です。「地球平面委員会」という組織の真相は、忘れるはずもありませんが、全体の流れは忘れていたので、その真相がどのように明かされていくのかを気にしながら、読み進めました。 では、簡単に内容紹介と感想を。 ーーー エラリー・クイーンの孫、クイーン・大五郎は、大学生活始まりにあたって、サークルを決めかねていた。そんなおり、空から舞い落ちてきたビラに、彼は気をとめる。「地球平面委員会」というサークル(?)によるそのビラをばらまいたのは、一人の女性。厳密には大五郎は、彼女に心を奪われてしまっていた。 怪しむ友人とともに、大五郎は「地球平面委員会」の説明会を訪れる。地球は平面だということを信じてみませんか? ほんの3人だけのメンバーにあまりに不信感を募らせ、大五郎は友人とその場を後にするが、大五郎はまだ委員会のことが、そしてその長である宮里真希のことが気になっていた。 その後、大五郎のアパートの近所で火事が起こる。火事跡見物に行ったときには、現場に委員会のメンバーがおり、それからというもの、宮里は大五郎に執拗にアプローチをとってくる。さらには学長の金庫から現金が盗まれるという事件など、大五郎の周辺では不審な事件が相次ぐようになる。 はたして、「地球平面委員会」が大五郎に固執するのはなぜなのか…。 ーーー 浦賀さんの作品の中でも、異色の作品だと思います。安藤シリーズでも、最近記事を書いた『ファントムの夜明け』などでも、いわば非日常的な設定が組み込まれていますが、しかし作品全体に通じる雰囲気はシリアスです。本書は、逆に非日常的な設定(特殊な能力など)はないものの、なんともシリアスさが歪に感じられる、というか。 なんとも独特の雰囲気の作品です。 ※これで、現時点で刊行されている浦賀さんの作品全てについて、記事を書いたことになります。6月には講談社ノベルスから新刊が出るようで、楽しみです。 (2009/05/05読了)
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Last updated
2009.05.12 06:44:27
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