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2017.08.12
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A・A・ミルン(大西尹明訳)『赤い館の秘密』
~創元推理文庫、1959年~
(A. A. Milne, The Red House Mystery, 1921)


 著者のアラン・アレキサンダー・ミルン(1882.1.18~1956.1.31)は、児童小説『クマのプーさん』の著者として有名です。本作は、そんな彼が著した、唯一の長編推理小説です。
 それでは、簡単に内容紹介と感想を。

―――
 赤い館に複数の客が滞在しているある朝、主人のマーク・アブレットは、15年前からオーストラリアにいる兄のロバートが帰ってくることを伝えた。15年前からイギリスを離れている兄にはいわくがありそうで、またロバートとマークも決して仲が良くはないという。
 客たちがゴルフに興じているあいだ、客の一人で友人のベヴリーを訪ねて、風来坊のギリンガムが赤い館を訪れた。そのとき、マークの秘書ケイリーが、事務室のドアをどんどんたたいており、なにか異変が起きているようであった。
 ドアには鍵がかかっている。そのため、ギリンガムがケイリーを誘い、窓から事務室の中をのぞきこむと、そこには一人の男が倒れていた……。
 証人の女中たちによれば、柄の悪いロバートを事務室に案内したのち、中でマークとロバートが言い争っているような様子であったという。
 部屋の中ではロバートが倒れており、マークは失踪している。マークがロバートを殺して失踪したかに見える状況だが、ギリンガムはベヴリーの助けを借りながら、慎重に考察を進めていく。
―――

 これは面白かったです。
 ギリンガムのひょうひょうとした感じと、ワトスン役をつとめるベヴリーの軽快な性格があいまって、殺人事件でありながら、ユーモアにあふれた物語となっています。解決もスマートですし、伏線や言い回しも見事です。
 物語に先立つはしがきでは、ミルンのミステリ理念が語られます。謎は、しろうと探偵の推理の輝きによって解かれるべきであって、「科学的な探偵と称するあの顕微鏡を持った男など、さっさと消えうせてしまえ!」(14頁)という過激な言葉もあります。
 ちなみに、ギリンガムは金田一耕助のモデルとなっているようで、横溝正史さんは次のように書いています。「この青年はその飄々乎たるその風貌から、どこかアントニー・ギリンガム君に似ていはしないかと思う(中略)これは私のもっとも愛読するイギリスの作家、A・A・ミルンという人の書いた探偵小説「赤屋敷の殺人」に出て来る主人公、即ち素人探偵なのである」(『本陣殺人事件』角川文庫、1996年改版、79頁)

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Last updated  2017.08.12 13:11:36
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