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2020.02.02
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G・K・チェスタトン(中村保男訳)『ブラウン神父の醜聞』

~創元推理文庫、1982(新版2017)

 

 ブラウン神父シリーズ第5作にして最終巻です。9編の短編が収録されています。

 簡単に、それぞれの内容紹介と感想を。

 

―――

「ブラウン神父の醜聞」スキャンダルに巻き込まれた女性が夫婦で滞在しているホテルを訪れた記者は、女性をめぐり争う男二人の姿を目にする。

 

「手早いやつ」改装中のホテルのバーに、禁酒主義者が現れ演説を行う。変わり者で通っていた男が暴言を吐き、禁酒主義者は怒り狂うが、かえって変わり者は笑う始末。その後、変わり者の男は、禁酒主義者が持っていた刃物で刺されて死んでいた。

 

「古書の呪い」それを開いた人間は消えてしまうという伝承を持つ古書を見て欲しいと頼まれた教授のもとを、依頼人が訪れた。教授の秘書の男がその古書を開き、秘書は消えてしまったという。そして、依頼人も自ら古書を開き姿を消す。

 

「緑の人」航海を終え帰還した海軍提督を迎えに出た秘書だが、提督のうしろを離れて一人の男が追い、剣をふるう姿を目撃した。その夜、提督は死体となって発見される。


「《ブルー》氏の追跡」
桟橋の門が閉まってから、中の小屋で話したい…と依頼人から手紙を受け取り、小屋を訪れた探偵だが、小屋に閉じこめられてしまう。そして、依頼人と別の男が追い掛け合い、ついには銃殺事件が起こるのを間近に見た。


「共産主義者の犯罪」
新たな講座を設ける話が出ている大学で、多くの教授たちから煙たがられている共産主義者の教授がいた。彼らが会議を終えた後、その大学を視察に訪れていた二人の男が、ベンチで硬直して死んでいるのが発見される。


「ピンの意味」
ブラウン神父が暮らすアパートのそばで、ビルの建設が進められていた。労働者たちがストライキを起こそうという動きがある中、強気でいた経営者の一人が殺されたらしいと、神父に相談がもちかけられる。


「とけない問題」
ある朝、たくさんの電話がかかってきた後、ブラウン神父はフランボウに連れられて、貴重な聖遺物箱が奪われるのを防ぐために修道院に向かった。途中、ホテルで二人は女性に呼び止められる。彼女の祖父が、木に吊されて死んでいた。足跡や、老人が刺されていることなど、奇妙な点がたくさん見受けられたが、解決せずに立ち去ろうとした神父の真意とは。


「村の吸血鬼」
1年前、閉鎖的な村で一人の役者が殺された。現場近くで暮らし始めたその後家や、村の聖職者の息子の不品行など、村ではいろんな噂が絶えなかった。しかし、1年前の事件の死因が見直され始め…。

―――

 

 特に好みなのは「古書の呪い」と「村の吸血鬼」です。真相が明らかになるときの、ぞわっとする感覚がたまりません。

 本書は、シリーズ最終巻ということもあり、訳者の中村保男さんによるあとがきも付されています。ブラウン神父シリーズを中心に、チェスタトンの思想を読み解こうとする試みで、こちらも興味深いです。

 ずっと気になっていたシリーズなので、この度全作読むことができて良かったです。良い読書体験でした。

 

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Last updated  2024.01.28 13:02:10
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 のぽねこ@ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

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