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2022.08.27
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コナン・ドイル(深町眞理子訳)『シャーロック・ホームズの事件簿』
~創元推理文庫、1991年~
(Arthur Conan Doyle, The Case-Book of Sherlock Holmes, 1927)


 シャーロック・ホームズの短編集第5弾にして最終作。
 著作権の関係で、創元推理文庫での阿部知二さんによる翻訳がかなわなかった中、ドイルの没後60年が過ぎ、著作権の問題がクリアされたため、深町さんによる翻訳で刊行された一冊とのこと。
 本書には12編の短編が収録されています。
 それでは、簡単に内容紹介と感想を。

―――
「高名な依頼人」殺人者として名高いが証拠不十分でつかまってはいないグルーナー男爵が、さる令嬢と結婚を進めようとしていた。令嬢は、男爵の不名誉なうわさは事実無根と信じ、周囲の反対に耳を貸さない。結婚を食い止めてほしいと依頼されたホームズがとった手段は。
「白面の兵士」アフリカで義勇団の中で友人になった男が消息不明となった。依頼人が男の家を訪ね、一夜を過ごすと、友人の姿を見る。しかし、その詳細を調べようとすると、その父親から猛反対を受け…。なぜ友人は姿を見せないのか。
「マザリンの宝石」盗まれた宝石をめぐり、犯人と目される男たちとホームズの戦いが繰り広げられる物語。
「三破風館」息子も亡くした未亡人のもとに、彼女が住む家を一切の家財ごと買い取りたいという依頼が舞い込む。提示された金額に承諾しかけた彼女だが、身の回りの品まで何一つ残らずという奇妙な条件から、彼女はホームズに相談を持ち掛ける。
「サセックスの吸血鬼」優しかった愛妻が急変し、赤ん坊にかみついて血を吸ったり、子どもに暴力をふるったりした…。後妻の急変に怒りながらも、夫はホームズに相談をする。果たして彼女の急変の原因とは。
「ガリデブが三人」ガリデブという珍しい苗字の男性が3人集まれば、広大な土地・財産を分与するという奇妙な遺言が残されたと、弁護士のガリデブから話を持ち掛けられ、科学者気質のガリデブは違和感を抱きホームズに相談する。果たしてこの奇妙な話の裏とは。
「ソア橋の怪事件」夫との仲が冷えていた女が、橋のたもとで死んでいた。住み込みの家庭教師の部屋に拳銃があり、また女との仲も険悪だったため、教師に疑いがかかるが…。
「這う男」かなり年下の女性に恋をした高名な学者が、ある日を境に様子がおかしくなっていく。まるで這うように歩いたり、記憶が欠落していたり。助手から相談を持ち掛けられたホームズが見抜く真相とは。
「ライオンのたてがみ」ライオンのたてがみという奇妙な言葉を残し、受験指導校の教師が死んでいた。みみずばれのような多くの傷を負って死んでいたその男ともめたことのある教師に疑いの目が向けられるが…。
「覆面の下宿人」過去にサーカスに所属していた際、ライオンに襲われて顔に傷を負い、ベールをかぶって暮らしている下宿人から、ライオン事件の真相が語られる。
「ショスコム・オールド・プレース」多くの借金を負い、次のレースでの自分の馬にすべてを賭けていた男が、納骨堂で掘り返すなど、奇妙な動きを見せ始め…。
「引退した絵の具屋」妻とその情夫に、財産を持ち逃げされたとホームズのもとを訪れた元絵の具屋の物語。
―――

 ホームズによる一人称作品(「白面の兵士」「ライオンのたてがみ」)や三人称スタイルの作品(「マザリンの宝石」)もあり、バラエティに富んでいます。これらも含め、シャーロッキアンたちの中で「聖典性」が疑われる(詳細は本書巻末の日暮雅通さんによる解説を参照)物語が収録されています。同じく巻末にエッセイを寄せた有栖川さんも、ある作品を特に「ナンセンス小説」と評していて、たしかにアレは「うーむ」となりましたが、そういう意味でもバラエティに富んだ作品集です。
 かつて何かの形で読んだことがあり、「ソア橋の怪事件」の真相は知っていましたが、それでも物語の展開や伏線の妙にうなりました。これはやはり面白いです。
 その他、印象的だったのは「ガリデブが三人」。まずタイトルの訳語が秀逸ですし、出発点となる奇妙な遺言も興味深く、面白く読みました。
 ようやくシャーロック・ホームズシリーズの全作に目を通すことができて良かったです。

(2022.05.05読了)

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Last updated  2022.08.27 12:46:29
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