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2023.08.19
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~光文社文庫、2007年~


 捜査一課調査官で、「終身検視官」の異名を持つ倉石義男さんが、初動捜査で的確な判断をし事件を解決に導く短編集です。8編の作品が収録されています。
 以前、ドラマもしていましたね(少しだけ観たことがあります)。

―――
「赤い名刺」一ノ瀬警部の不倫相手が首吊り死体として見つかった。倉石のもとで働いていた一ノ瀬は現場指揮を任されるが、被害者と自分の接点が発見されるのを恐れ、的確に動けなくなってしまう。自殺か、他殺か。倉石が出す答えとは。
「眼前の密室」老婆殺し事件担当の班長が官舎に戻るのを、官舎前で待ち続けていた相崎記者たち。少し現場を離れるときも、ドアに細工し、人の出入りが分かるようにしていた。しかし、班長が帰宅後、中では班長の妻が殺されていた。完全に見張っていた密室状況の中で、いかに事件は起こったのか。
「鉢植えの女」自分史教室を開催していた男が地下の書斎で死んでいた。自殺のような状況だったが、現場にはダイイングメッセージのような「短詩」が残されていた。そのメッセージが意味するものとは。
「餞(はなむけ)」定年前の刑事に、13年前から届いていた、地名のみ書かれた年賀状などが、ぱったりと届かなくなった。差出人は亡くなったのか。そもそも、誰が、何の目的ではがきを送ってきていたのか。
「声」脅迫文が書かれた大量のFAX用紙が散乱する部屋で、女性が死んでいた。女性が務めていた事務室の検事たちは、現場を訪れるものの、彼女の死に責任を感じていた。果たして、彼女は自殺だったのか。
「真夜中の調書」高校教師が自宅で殺された。犯人と思しき男は、団地内の袋小路で逃げ場を失っており、事件発覚から間もなく逮捕された。黙秘を続けた男は、犯行を自白する。しかし、倉石は捜査の見直しを求め…。
「黒星」元同僚の女性と電話で話した翌日、女性が車中で死んでいるのが発見された。留美は状況を倉石に告げつつ、ともに捜査に参加する。自殺と思われた状況だったが、倉石は他殺とみて、被害者の過去を浮かび上がらせていき…。
「十七年蝉」「改心組」の巡査部長を部下につけ、公園で起こった事件にあたった倉石。部下に、現場付近で「見覚えのあるやつ」を見つけたら教えろと指示した真意とは。
―――

 なんとなくドラマを先に観てしまった原作は手に取らないことが多いのですが、家族が持っていた本書を読んでみて…大正解でした。これは面白かったです。
 言葉は粗暴、上司にもずけずけと発言しながらも、わずかな状況から自殺・他殺を見分け、捜査の方向性を誤らせない。そして部下も含め、人をきちんと見て、大切にしている。そんな倉石さんの姿がかっこよく、どんどん読み進めました。
 収録作の中で特に好みだったのは「餞」。定年退職する刑事がたどり着いた真相と、倉石さんの姿が素敵すぎます。また、先に「人をきちんと見て、大切にしている」と書きましたが、これは「黒星」に描かれる、ある老人の死の真相を見破ったエピソードで特に感じました。
 あらためて、これは面白かったです。良い読書体験でした。

(2023.03.24読了)

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Last updated  2023.08.19 19:15:22
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 のぽねこ@ corpusさんへ ご丁寧にコメントありがとうございました…

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