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2007/04/13
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カテゴリ:感想【小説】
山崎豊子先生「華麗なる一族」、読了です。

上・中・下巻、1冊ずつアップするつもりでしたが、中・下巻まとめてしまいます。
なんて一貫性のないブログ。。。(--;)
上巻の感想は2007/04/10の日記ご参照くださいませ。

 
阪神特殊鋼の専務万俵鉄平は、米国企業からの増注契約をキャンセルされて危機に陥る。旧友である大同銀行の三雲頭取が多額の融資を了承してくれるが、その矢先、熱風炉が爆発するという事故が出来―。一方、万俵家の次女二子は、総理の縁戚と見合いをしながらも、鉄平の部下である一之瀬に惹かれていく。万俵家に同居する大介の愛人・高須相子が企む華麗な閨閥づくりの行方は…。
 
万俵大介は、大同銀行の専務と結託して、鉄平の阪神特殊鋼を倒産へと追いやり、それをも手段に、上位の大同銀行の吸収をはかる。鉄平は、三雲頭取を出し抜いた専務と父親の関係を知るに及び、丹波篠山で猟銃自殺をとげる。帝国ホテルで挙行された新銀行披露パーティの舞台裏では、新たな銀行再編成がはじまっていた。聖域「銀行」にうずまく果てしない欲望を暴く熾烈な人間ドラマ。


上巻では、父・万俵大介の銀行家としての野心、冷徹さ、その息子・鉄平の鉄に対する思い入れと希望が対比的に描かれ、親子間の確執とその影にある鉄平出生の秘密を匂わせて終わりました。

中巻では、着々と「小が大を喰う」銀行合併に向けて、知略を巡らせ、着々と情報収集・根回しを進める万俵大介と、父・大介に非情な扱いを受け、さらに輸出先からのキャンセル、支援者である岳父の死、熱風炉の爆発事故という次々と降りかかる不運に見合われる鉄平、その二人の間に深まる溝が描かれていきます。

とにかくもう、鉄平がこれでもか、これでもか、というくらい悲惨な目にあう。
山崎先生、容赦ないです(TT)

そして下巻
まんまと大介の策略通り倒産に追い込まれる阪神特殊鋼と退陣を余儀なくされる鉄平。
そして、阪神特殊鋼倒産を捨て駒に、見事にことを成し遂げ大同銀行との合併を果たし新銀行の頭取に納まる大介。
これまでの父の行動の真意を知ったとき、鉄平は・・・。

やられっぱなしの鉄平を歯痒く思いながらも、大介=悪、鉄平=善の図式にあっては、最後には勧善懲悪の結末が待っていると思って読み進めていました。

下巻の中盤で鉄平が大介を告訴したときには、
おっ、ここから法廷ドラマが始まるのか?
でもあと残りページこれだけで足りるのか?

とワクワクしましたが、あっさり取り下げられてしまいました。
やっぱり鉄平、ちょっと詰めが甘いよ。。。

そして、結局、鉄平は父・大介に完膚なまでの敗北を喫し、
人生の情熱を傾けた高炉建設、
愛してやまない阪神特殊鋼という会社とその社員たち、
三雲頭取との信頼関係、
そしてついに取り戻せなかった父との親子の絆、

全て失われ、何より全てが父の銀行家としての野望の犠牲であったことに打ちひしがれ、死を選んでしまいます。

鉄平が、いつか大介に一矢報いて終わると思っていただけに、鉄平の死、それも自殺は無念でした。

ネタバレになるかな、と思いましたが、内容紹介文に
丹波篠山で猟銃自殺をとげる
って書いてあるからいいですよねf^^;
私は知らずに読んだので衝撃でした。


キムタクが主演だったドラマの影響か、鉄平が主役、若しくは大介と鉄平のW主役と思っていたので、そんな筋書を予想してしまっていたのかもしれません。
あくまでもこの小説の主役は悪たる大介でした。

山崎先生、どこまでもシビアです。
そしてリアル。
現実世界では必ずしも勧善懲悪、ということにはならなくて、むしろ悪であっても最終的な勝者こそが正義、ということの方が多いかもしれません。
そんな現実から目を背けさせてくれません。

ただ、そんな大介も鉄平の死後判明した事実には自責の念にかられてしまう。
自らの猜疑心が息子を死へまでも追いやったことは、彼にとっても深い傷を残すのです。

そして、大介がそれだけの犠牲を払い成し遂げた合併、築き上げた地位は、所詮、政界の黒い思惑の中では一つの布石に過ぎなかった、という現実を読者に示して、この長い物語は幕を閉じます。

虚しいですね。

人間の虚栄心や功名心はどこからくるのか。
どこへ向かっているのか。
所詮は儚く実体のないもの、盛者必衰、栄枯盛衰であることは自明の理であるのに、時に他者や自分の命を懸けてまで求めてしまう。

大変大人向きの小説でした。
やはりこの本は社会人経験を積んでから読むとリアルに伝わってくるので、『R25』で紹介したらいいんじゃないかな?

それにしても初めて読んだ山崎豊子先生、恐れながら感服いたしました。

見事に銀行内部の実情や政界、財界、官僚の黒い繋がりを描き出しています。

あとがきにありましたが、小説を書く前に半年かけて取材をしたんだそうです。
元大蔵大臣にも取材したとか。
1円の得にもならに小説家の取材を受けて、その上こんな書かれ方しちゃうのを許してくれるなんて、結構いい人なんじゃない?、と思ったw

そして素晴らしい描写力
登場人物が非常に多いのですが、一人一人の立場と思惑が見事に書き分けられていて、頭の中をいろんなオジサンたちが駆け巡ってました

《万俵家》
大介・・・万俵家当主。阪神銀行頭取。
寧子・・・大介の妻。公家華族の出。
相子・・・大介の愛人。万俵家の家庭教師。
鉄平・・・万俵家長男。阪神特殊鋼専務。
早苗・・・鉄平の妻。政治家・大川一郎の娘。
銀平・・・万俵家次男。阪神銀行貸付二課長。
万樹子・・銀平の妻。大阪重工・安田社長の娘。
一子・・・万俵家長女。既婚。
美馬中・・一子の夫。大蔵省主計局次長。
二子・・・万俵家次女。未婚。
三子・・・万俵家三女。未婚。
敬介・・・万俵家先代。大介の父。故人。

《阪神銀行》
大亀専務・・・経理担当役員。大介の腹心。
芥川常務・・・東京事務所長。政界・官界工作担当。
その他役員・・小松専務、荒武常務、渋野常務など
速水・・・・・頭取秘書。銀平の同期。
忍者部隊・・・東京事務所総務課員。伊佐早、冠、平松。

《大同銀行》
三雲頭取・・・・日銀からの天下り。鉄平と旧知。
綿貫専務・・・・生え抜き。

《阪神特殊鋼》
石川社長・・・・大介の妹の夫。お飾り社長。
一之瀬工場長・・鉄平の理解者。
一之瀬四々彦・・一之瀬工場長の息子。二子の恋人。
銭高専務・・・・経理担当役員。阪神銀行から

《政治家》
永田大蔵大臣・・大介と繋がりのある現職大臣。
大川一郎・・・・大物政治家。鉄平の妻・早苗の父。

《大蔵省官僚》
春田銀行局長・・永田派閥の官僚。

《その他》
つる乃屋老女将・・万俵家先代・敬介の妾。
つる乃屋若女将・・敬介と老女将の娘。
小森章子・・・・・銀平の元恋人。画家。
細川一也・・・・・二子の見合い相手。帝国製鉄秘書課勤務。


主要な人物だけでもこれだけいます。
その他、各方面関係者もずらずら出てくる!
でも混乱しない。
山崎先生の筆力の賜物です。

長い物語でしたが、やっぱり鉄平の無念を晴らすためにも、あと2巻くらいかけて、万俵大介の凋落っぷりを読みたい気分です。

続編書いてくれないかしら?

もう御歳だから無理かf^^;
やはり大作を書かれるだけあって、寡作ですね。
これまで13作しか書かれてません。

あとは、ドラマでも観て楽しむかな~。

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最終更新日  2007/04/13 10:02:04 PM
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