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ヒロガルセカイ。

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柊リンゴ

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2006/03/31
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「すみません。家・近いんで。保冷剤入れなくていいですよ。」
「なんでだ真夏。
 入れておいてもいいじゃないか。車でも10分はかかるぞ。」
男の子はぎろりとおじさまを睨みます。
「あれ・入れると、しけるんだ。タルトの底んとこが。
 俺は噛んだときに がしゅっ とした、あの食感が好きなんだ。」
「ああそうかい。」
おじさまは呆れています。何が食感だ・・。
店員さんが、大きな白い手提げの紙袋を持ってレジに立ちました。
にっこりと微笑みます。
それを見るやいなや、頬を赤らめて・いそいそと近寄るおじさまの
背中に向けて
男の子が ぼそっと。
「大事だぜー。鞠香も母さんも、そう言うよ絶対。」
「なに。そうなのか?」
ぎょっとする速さで振り返るおじさま。
店員さんの顔がひきつります。
「そうか・・母さんが・・。あ、すみません。おいくら・・でした?」


「ほら。持っていなさい。ひっくり返すなよ?」
会計を済ませてうやうやしく受け取った手提げの紙袋を、
おじさまは男の子に渡します。
「ひっくり返さねえっての・。」
男の子は受け取ると、店員さんをちらりと見ました。そして・
「うるさくして、ごめんなさい。」
ちょこん・と頭を下げてお店から出て行きました。
おじさまも ありがとう、 とまた頬を赤らめたまま。
手をふって出て行きました。
店員さんは、頭を下げるのを忘れたまま・・奇妙な親子を、
ぼおおっと・・見送りました。





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Last updated  2006/03/31 01:29:41 PM



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