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ヒロガルセカイ。

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柊リンゴ

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2006/04/04
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細い腕から意外な強い力で拒絶されて、立秋はよろめきました。
かわいい顔をしていても、やっぱり男の子です。

真夏は立ち上がり、お尻をはらって、タッパーを洗い始めました。
スポンジに洗剤をつけて泡立てます。
真夏の腰にぶら提げたチェーンが、がちがちとテーブルに当たります。
少しイラッときているみたいですね。
「あのさあ。おまえ桜餅食っただろう?」
「桜餅とは・・?」
立秋は真夏の問いかけより・真夏の腰パンに注目しています。

腰が細いから、ずり落ちてしまうのだろうか。
・・言ってもいいのだろうか、なんて考えて。挙動不審です。
「おまえから桜餅の匂いがするんだよ。」
「ああ。桜餅ではなくて、桜だろう。真夏くん。」
真夏は、はあ?と顔を上げました。
「僕の家に桜が咲いているんだ。その香りだろう。」
「そんな匂いかな?こう・・鼻に・塩っけがつくような・・。」
濡れた指を鼻の先につける仕草が、立秋にはたまりません。

「家にくるかい真夏くん。」
思い切ったお誘いをかけました。
「絶対行かねえ。はい・これ。ごちそうさまね。」
あっさり拒絶です。もう餌がないからです。
洗ったタッパーを押し付けて、ぷい・と出て行こうとする
真夏の背中に
「きみは躾のよく行き届いた人だね真夏くん。
 そうだね・・いきなり家に誘うなんて性急すぎた。
 どうだろうか。
 僕とお茶でも。」
真夏は天井から水が滴り落ちて、背中にはりつくような寒気を感じます。
「タッパーを洗ってもらったお礼だと思ってもらっていいんだ。
 お茶が飲みたいんだ。真夏くん。」
外の自販で買って飲めよ。もうーおまえ何か変だ。」
これだけ言われたら、しょげるはず。
しかし青春真っ只中・どうやら人の正しい道を大きくずれて驀進中の
この美しい顔の変態さんには、ますますそそられるものが
あるご様子です。
「ああ真夏くん。想像どおりだ。きみは僕にふさわしい感性の持ち主だ。」





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Last updated  2006/04/05 07:03:09 PM



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