ボクシング、井岡一翔(かずと)vs 八重樫東(あきら)の試合をTV観戦した。
井岡はWBC(World Boxing Council)ミニマム級世界チャンピオン。八重樫はWBA(World Boxing Associates)ミニマム級世界チャンピオン。ミニマム級王座ユニオン・バウト(統一試合)である。TVゲスト解説者のひとり内藤大助元WBCフライ級チャンピオンが言っていたが、ユニオン・バウトは二人のチャンピオンのうち一人が消えてゆくわけだから、もったいない試合と言えば言える。
それだけにボクシング・ファンとしては、見逃すことができない。
井岡はプロ転向後7戦にして世界チャンピオンに上り詰めた。しかもこれまで9戦全勝、6KO。まさに今、勢いに乗った23歳の天才ボクサーである。
かたや八重樫は初のチャンピオン選に挑んださい、顎の骨を骨折。まさに挫折をあじわってきた29歳の苦労人だ。
この試合のルールは、WBCのルールとWBAのルールをミックスしてのものだというが、それについてはここでは言及しなくてもよいだろう。ただ、4ラウンド終了時と8ラウンド終了時に、3人のジャッジの点数を公開するWBCのオープン・スコアリングを採用していた。オープン・スコアリング・ルールは、選手それぞれのその後の試合運びに大きく影響することがある。
さて、その4ラウンドまでの試合は、互いにまったく遜色がなかった。しかし八重樫は2ラウンドあたりで左まぶたが大きく腫れ上がった。以後、全試合終了までに、レフリーが数度試合を中断してドクターにチェックさせていた。ほとんど見えなくなっているのではないかと心配された。が、八重樫は見えることを主張して、結局、12ラウンドを戦い抜くことになる。
4ラウンド終了後のオープン・スコアは3人の審判共に78-78の互角。これを知った八重樫は、5ラウンド立ち上がりから勢いがついた。まさにオープン・スコアリング・ルールが八重樫のメンタルに作用したのである。
しかし、井岡も引き下がりはしない。こまかいジャブをくりかえしてヒットさせる。八重樫もフックを繰り出し応戦。その左まぶたは、井岡のパンチがヒットするたびにブルンブルンと揺れるほど腫れ上がっている。内出血によりブス色である。
8ラウンド終了後のスコアは井岡が優勢の2-1。
井岡の顔面に八重樫の拳がヒットする。瞬間、足が止まる。あるいは井岡のクリンチ。おそらく井岡にとっては初めての経験にちがいない。そこからパンチの応酬戦。まさに死闘。
そして試合終了。互いに自らの勝利をアピールするが、井岡、3-0で二つのチャンピオン・ベルトを手にした。ただし勝者井岡は10日以内にどちらかのチャンピオンの座を返上しなけれならない(契約でそうなっているらしい)。
井岡一翔、試合後のインタヴューで、「八重樫さんは、ほんとうに強かった」と。
観客、大満足のすばらしいボクシングだった。
蛇足をひとこと。
リング・サイドに薬師寺保栄さんと辰吉丈一郎さんがTVゲストとして招かれていた。辰吉さん、ロレツがまわらないようだが、パンチ・ドランカーの症状かしら? 気になりました。
お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Jun 21, 2012 04:43:32 PM
コメント(0)
|
コメントを書く
[サッカー、バレーボール、スポーツ全般] カテゴリの最新記事
もっと見る