先が見えないとき
アルバイトであっても、仕事をする限りは一生薬とのつきあいがあるのだろう。だから月一回の通院は欠かせない。でも、もう何年もずーっと通ってるから主治医もこの季節はこうなるとか、なんとかわかってんだよね。こちらも主治医の言いそうなことは、予想がつく。精神科医のことをいうときに、あまりよくない言葉かもしれないけど「投薬マシーン」というのがある。うつ病と違って、カウンセリングを繰り返せばよくなるわけじゃなしリタリンとか正直処方めんどくさい薬なわけだし。事実、主治医は診察に飽きてると思う。主治医だって「俺、投薬マシーン」と思ったことあるだろう。何の変化もない私を診ると、そうせざるをえないから、診たくないんじゃないかな。長年続けてる通院だけど、数ヶ月前、初めてぶつけてみた。モディオダールの服用がつらくて、悩んでる時。「もしかしたら薬なくても努力したらいけるんじゃないか、と考え始めてる。なんかもう、ずっとでしょ。もう、薬やめたい」「ぶっちゃけ、治療をやめちゃうひとだって、いるんじゃないですか?」主治医は冷静に、他の患者さんの傾向を話してくれた。ネットで調べて知っていたことではあるけど、発見が遅れるほど治療に挫折しやすいこと。「幸いにあなたは働くこともできたわけやし、薬飲んで、自分に残ってる能力を社会に還元していけばいいんやないかな」向こうは仕事だし、困った患者にも慣れてるだろうとは思うけど自分の感情をぶつけたことを、今でも申し訳なく感じている。どう考えても事実は変わらないし、予後も変わることはないのに。言われた時は、「そりゃ、できる範囲でしか働けんわな」とだけ思ったけど後になってみれば、こりゃ死亡宣告だ。ある意味、余生宣告。過眠症はたしかに社会的に死亡する体質なんだけどね。