私:「新帝国主義論」からロシアの動きに知的興味が沸いたので、ロシア街道として「ロシア世界を読む」に行ったが、そうしているうちに、新聞のテレビ欄でクローズアップ現代でとりあげているので、早速見たよ。
すでに、この知的街道である程度の予備知識を得ていたので分かりやすかったね。
A氏:俺も見たよ。
2日後にロシアに下院選挙があるんだね。
450の議席を争うのだが、プーチンが党首である統一ロシアが圧倒的な勝利をおさめるのではないかということだね。
私:今、450議席のうち、統一ロシアが297議席だというから、これより議席を増やすと一党独裁国家みたいになるね。
それにしても、大統領になって2期8年で、ゴルバショフ、エリツイン時代の混乱のロシアを、今、豊かな大国として復活させたのは、たいしたものだね。
プーチン大統領は現在の憲法の規定で来年5月で退任が決っている。
普通、政権末期はアメリカのブッシュ大統領のように、人気は低下していくもんだが、プーチンの国民の支持率は、現在でも81パーセントだという。
A氏:ロシア経済が立ち直ったのは市場主義の導入効果というより、天然資源の高騰のおかげだね。
私:エリツインは徹底的な市場導入主義者だったが、それはロシア経済を大混乱に陥れた。
だから、ロシアは安易な民主主義には警戒しているね。
それに、ウクライナやグルジョアのようにかってのソ連にいた国が欧米の民主化で、ロシアとはなれる動きがある。
プーチンは欧米の「押し付け民主主義」を批判している。
ロシアの民主主義は「主権民主主義」でなければいけないとしているね。
すなわち、無政府的なグローバル主義を否定して、ロシア国家としての主権をもった民主主義でなくてはならないとしているね。
それには、カリスマ的な指導者が必要だという。
「皇帝」だね。
A氏:まさにプーチンはそれに最適な人物だということになるね。
だから、プーチンの英雄的な宣伝はものすごいね。
北朝鮮の将軍様並みだね。
私:ロシア経済は市場経済のメリットで成長していないので、まだ、後進国的な存在だというね。
それが豊富な天然資源のおかげで、資源大国として世界的な発言権も強くなってきたね。
A氏:その力を背景にプーチン外交もしたたかだね。
私:2000年にプーチン大統領が故小渕首相に「私は、柔道を20年以上やったので日本の伝統、文化の深さを知る者として日本を愛している」と言ったという。
ところがアメリカのオルブライト国務長官に対しては「柔道などはエキゾチックな魅力を持つものに過ぎなく、ヨーロッパ人であるわれわれのメンタリティーではありません」と言ったという。
ヨーロッパに対しては、ロシアのヨーロッパ性を強調する。
ところが、2000年の北京訪問では「ロシアはヨーロッパであると同時にアジアの国です」と言い、インドでは「ロシアは、インドとどこかでいつも精神的につながっています」と言っているという。
駆け引きは外交の常套手段だが、見え見えだね。
A氏:そういえば、プーチン大統領が、直接、民衆とテレビ対話をしているシーンが、このクローズアップ現代であったが、そこである青年が「今、極東に住んでいるが、ここを離れたくないが、職がない」と言っていたね。
プーチンは「極東に雇用できる仕事を計画する」と言っていたね。
私:実はロシアも少子化で悩んでいるんだね。
人口減少が進んでいて、21世紀半ばには日本より人口が少ない国になるという。
平均寿命も短い。
人口減少が特に顕著なのはシベリヤや極東地域で、流出が進んでいるという。
2006年のこの地域の人口は659万人で、対岸の中国東北三省の合計は約1億人。
だから、放置しておくと同地域は廃墟と化すか、中国の勢力圏に取り込まれるかもしれないという。
大都市と地方や農村との格差は大きいという。
A氏:そこで欧米や日本からの新しい産業の誘致が必要なんだが、外国資本の支配を受けたくないしね。
とにかく、資源大国とはいえ、多くの問題を抱えているね。
2日後のロシア下院選挙の結果が待たれるね。