3月23日、日曜日。
娘と孫2人連れて、新幹線で1時間半ほどの都市にあるホスピスに昼頃着く。
1週間ほど前にホスピスに入った身内N氏の見舞いのためである。
この地方都市は私が生まれ育った街だ。
最初、妻が同行の予定であったが、急に風邪で咳がひどく、参加中止となる。
新幹線の駅からタクシーで10分くらいのところにそのホスピスはあった。
ホスピスは3階建てだが、N氏は2階の個室にいた。
もう、80歳に近い。
つれ合いと、結婚して別に住んでいるN氏の子ども2人も見舞いに来ていた。
2月始めに胃を切除、食道と小腸を結ぶ大手術をした。
しかし、すでにスキルス性の胃ガンは、その他の内臓にも転移しており、N氏の息子に医者は後1,2ヶ月だと言ったという。
N氏は手術後、息子を問い詰めたら、息子は事実を言ったという。
しかし、もう1ヶ月たつ。
ホスピスは医者もすすめていたが、最初、3週間ほど待たないとあかないといわれていたのが、急に1週間で入れるようになり、すでにホスピスに入って10日ぐらいになる。
2ヶ月ほど前、手術前に会ったときは、ガンを患っているとは思えないほど、元気であったが、今日、見るとやせて顔色も良くない。
手術で15キロくらい体重が減ったという。
ホスピスに入った当初は、元気に食事も普段通りであったし、甘いものが好きで食べたとのこと。
そのため、少し体重を回復し出したようだった。
それが、2、3日前から食欲がなくなり、食べていないという。
痰がでるが、胆汁のような黄色いものが混じるという。
担当医はたいしたことではないよと言っているという。
痛みが出てきて、服用薬から座薬になったが、30分くらいで効かなくなってきたという。
しゃべるのは正常で、死を宣告されたにしては、落ち着いていたので一安心した。
病気見舞いは、患者が疲れるので長時間いられないし、孫もいるので、1時間ほどで部屋を出る。
ひょっとしたら、これが生きて会える最後かもしれない。
また、新幹線で帰り、横浜の駅まで車で迎えに来た息子の車で帰宅したのは夜7時頃だった。
息子はそのまま、娘と孫を別に住むマンションまで送っていった。