世界経済危機日本の罪と罰
私:図書館に予約してから、随分たってから、ようやく俺の順番になった。しかし、内容的には、すでに「GDP10%減 大津波がくる」野口悠紀雄筆・文藝春秋3月特別号 と同じだね。
だから、さっと読んで終わりだね。
但し、興味を持って集中して読んだのは、3ヶ所だね。
1点は、野口氏は、小泉・竹中時代に外需依存型経済が進んだので、アメリカの消費が落ち込んだら、火元の御本家のアメリカよりも景気は悪くなり、株価はアメリカより下がったという論だね。
A氏:竹中平蔵氏は12日のテレ朝のサンデイープロジェクトで、小泉時代は内需が増えたのであって、外需に依存したというのは間違っていると言っていたね。
野口氏の分析と正反対だね。
私:竹中氏は以前、株価がアメリカより下がったのは、日本の規制緩和がまだ、不十分で、外国資本が入りにくいからだと言っていたね。
しかし、その後、トヨタが一挙に大幅赤字に転落したように、外需依存型が原因であり、そのために、アメリカの消費が急落したので、輸出産業の多い日本企業の株価が下がったのは明らかだね。
野口氏の解説によると「外需依存度」とはGDP成長率に対する外需の寄与を示すもので、GDPの増加分に対する外需の増加分の比率だという。
野口氏によると、2002年以降の景気回復局面では、異常なほどこの比率が大きく、外需の寄与が大きいという。
A氏:竹中氏が主張するGDPに占める内需が7割だとか言う意味と違うようだね。
竹中氏は、2002年からの景気回復は、アメリカの外需頼りだったというのは面白くないようだね。
しかし、昨年末頃、日本経済が奈落の底に落ちたのは、アメリカの消費の激減のためであることは、今は明らかだね。
私:2つ目は、農業問題だね。
榊原英資氏は、今後、今後の日本の成長産業は農業だといっているのに対して、野口氏は、もっと農産物は規制を緩和して輸入すべきであるとしているね。
日本は工業でカネを稼ぎ、農産物は外から買うべきだとしている。
いろいろな国から食糧を輸入できるようにするほうが、むしろ食の安全保障になるという。
食糧自給率もわざとカロリーベースにして、40パーセントという低い数字を使って、危機感をいたずらにあおっているだけだという。
3つ目は、これも竹中氏と対立する考えだが、野口氏は1990年代の日本のバブル崩壊のときの不良債権処理は自慢できないとしているね。
第一に対応が遅すぎた。
そして結果が不透明で、その経験を世界に教えられるようなものでないという。
また、不況が続く限り、資本注入で不良債権問題は解決できないという。
A氏:銀行が貸した先の業績が上がらない限り、貸した金は返ってこないのだから、それは当然だね。
私:それにしても、12日のテレ朝のサンデイープロジェクトでアメリカの製造業が衰退して、金融業がとって変わった、そして、今度はその金融業がおかしくなったという田原総一郎氏の言に対して、竹中氏が「アメリカの製造業は衰退していない。例えば、コカコーラがある」と言っていたね。
20世紀のアメリカの偉大な製造業の象徴的な存在だった自動車産業。
そして、ビッグスリーという名前。
それが、1980年代から、日本車にやられ、今度の経済危機で完全に崩壊したのにね。
コカコーラが健在だから、アメリカの製造業が健在とはね。
同じ製造業でもレベルがまったく違うよ。
おかしいよ。
まったく、噴飯ものだが、誰も「コカコーラは、製造業の象徴的な製品ですかねぇ」と、即、その場で指摘できないのは何故だろうね。
日本の外需依存型も、竹中氏が内需型だったというのに対して、誰も「GDPで内需の率は高いが、問題になっているのは、『外需依存度』が2002年から急激に増加したことですよ」その場で即、反論できないのは何故だろうかね。
野口氏は、「内需の中でも、民間企業設備投資が旺盛な海外需要を受けて行われるなら、間接的に『外需依存』と考えられる」として、「2002年からの景気回復では、こうした面がある」ことを指摘しているね。