私:井上ひさし氏が亡くなった直後、新聞で「蟹工船」をもとに書いた戯曲「組曲虐殺」が新聞広告で出ていた。
早速、図書館を検索したがない。
そこで、図書館にあった「ムサシ」を借りることにした。
前にリストアップした図書館予約14冊中の1冊だね。
これで6冊目読了。
「ムサシ」は劇の脚本だね。
脚本を読むのは初めてだ。
偶然、本を読む前にWOWOWか何かで、この舞台劇を紹介していたのを見た。
主役の宮本武蔵役の藤原竜也と佐々木小次郎役の小栗旬の座談や、演出の蛭川幸雄氏のインタビューもチラッと見た。
井上ひさし氏が、まだ元気な姿で演劇のリハーサルでしゃべっているところも出ていた。
しかし、舞台劇そのもののTVは見ていない。
A氏:武蔵と小次郎の巌流島の決闘から始まるようだね。
私:そうだね。
吉川英治の「宮本武蔵」は巌流島の戦いで終わっている。
しかし、この舞台劇は、その巌流島の対決シーンから始まる。
そして主題は、その6年後の物語だね。
吉川英治の「宮本武蔵」をうまくひねって、人が死ぬという無意味さをテーマにしている。
TVで紹介している時の井上ひさし氏がそんな話をしていたので、大体ポイントはわかっていた。
吉川英治の「宮本武蔵」を読んでいる人には、この小説から引用しているセリフがわかるから面白いね。
この脚本を見ながら、TVの舞台劇を見たら、楽しめた舞台劇になると思ったね。
俳優が脚本をどのようにこなして演技するか、演出家がどのように、脚本を料理するかが、興味があるね。
脚本を読む面白みがわかってきたような気がする。
A氏:そう言えば、今月の「文藝春秋」(6月号)に「追悼・こまつ座が見た井上ひさし」というタイトルで座談会の記事があったね。
井上氏は、舞台稽古を見にくるが、演出については、演出家任せだったというね。
私:氏は俺たちと同世代だね。
氏は、戦争中はお国のために20才までには死ぬだろうと自然に思いこんでいたという。
氏の戦争責任の考えをこのブログでとりあげたが、氏は、大人が東京裁判に無関心だったのは、戦争は裁判されている戦犯の責任としたためで、一部の人に責任を負わせ、遁走したのだという。
氏は、東京裁判はその「線を引く」ことだったという。
氏は、東京裁判の3部作では「あのときはしょうがなかった」「ああいう時代だった」というところを突きたいということらしかった。
井上ひさし氏の知的街道として、小林多喜二の「蟹工船」を扱った戯曲「組曲虐殺」を図書館から借りられたので読む予定だ。
しかし、東京裁判3部作はついに未完成で終わったのだろうか。
探してもなかったね。