A氏:昨日の朝日新聞の朝刊トップで、自動車保険料が上がると報じているね。
損保ジャパンは4月以降、現在30歳以上は8万6670円で一律だった保険料を、年代(世代)別に変えるという。
下の表のようになるという。
30~39歳 | +530円 |
40~49歳 | +690円 |
50~59歳 | +830円 |
60~69歳 | +3000円 |
70歳以上 | +7150円 |
これを見ると、70歳以上の保険料は急激に上昇だね。
ドライバーが起こした交通事故で高齢者ドライバーの事故が増加しているためだ。
さらに高齢者ドライバーが事故に遭うと、若年層よりも治療期間が長くなり、治療費が増える。
損保大手各社の高齢ドライバーへの保険金支払いも当然増えているが、これをまかなえるだけの保険料収入が増えていないというわけだね。
私:少子高齢化の影響が見事に現れているね。
俺は、これを見て、先週読んだ「2020年、日本が破綻する日」(6の4)でとりあげていた「世代会計」を思い出したね。
「世代会計」は、世代の一生の縦の損得計算だが、これを世代を横に切って、損得の考えを、この保険料問題に応用することができるね。
俺は、これを「横切り世代会計」と勝手に名前をつけたね。![スマイル スマイル](//plaza.jp.rakuten-static.com/img/user/emoji/a001.gif)
要するに、今までの保険料のとり方では、35歳以上のドライバーは、とられる保険料(負担)は高齢者も同じなのに、支払いを受ける金額(受益)は、高齢者の方が多いということになるね。
しかも、高齢者は保険料の継続割引まである。
「横切り世代会計」では、30代以上の若い年代層が「損」をして、高齢者になるに従い、「得」をしているということになるね。
一種の「世代間格差」だね。![スマイル スマイル](//plaza.jp.rakuten-static.com/img/user/emoji/a001.gif)
A氏:年金・医療・介護の社会保障費みたいだね。
私:損害保険会社の自動車保険料はある事故率を想定して、保険料を計算しているんだろうが、それが、事故が想定した事故率より増加すると、入金より、支払いが増えて保険会社の運営に影響するね。
それが特に高齢者世代に支払う額が想定より多いと当然、掛金をあげないと商売にならなくなる。
そこで世代別の保険料に切替えざるを得なくなったわけだね。
社会保障の場合、自動車保険料のような世代別負担にしたら、大変なことになるね。
高齢者になるほど年金・医療・介護の自己費用負担が増えるということになり、高齢化するほど退職しているのでそんなカネはない。
自動車保険なら、ドライバーをやめればいいが、社会保障の場合は生きるためには不可欠だから、自動車保険のように脱退できない。
死ぬしかない。
だから、高齢者になってからでは、その負担はできないから、「賦課方式」のように現役世代の保険料に頼るか、自分の老後の費用は、現役中に積み立てる「積立方式」とするかという理屈になるね。
A氏:自民党政権のときにできた「後期高齢者医療保険」というのも「横切り世代会計」の発想があったのだろうかね。
私:これから、人口の中に占める高齢者の割合も増加するのだから、高齢者ドライバーの事故もさらに増えるだろね。
損害保険会社も遅ればせながら少子高齢化の社会構造の変化に対応をし始めたということかね。
政治の社会保障の方は、消費税や増税がらみで対応がもっと遅れているがね。