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私:昨日まで3日連載で「『文系学部廃止』の衝撃」吉見俊哉著にふれてきたように、全国的に見れば、国立大の文系は逆風下にあり、文科省が昨年、「組織廃止や、社会的要請の高い分野への転換を」と国立大に通知したことが、マスコミで波紋を呼んだね。
A氏:それが、昨日の報道によると東工大は逆の方向に進んでいるね。 理工系の国立大なのに、中島岳志、池上彰、磯崎憲一郎の各氏ら著名な人文社会系学者、文化人を、次々と教授陣に招き入れている。 全国的に文系学科を巡る状況は厳しくなっているが、東工大は「リベラルアーツ」の充実で志のある学生の育成にあたるという。
私:「リベラルアーツ」とは ギリシャ・ローマ時代の自由7科(文法、修辞、弁証、算術、幾何、天文、音楽)を源流とする、人間を自由へと解き放つ人間形成のための学問を指す。 日本では「教養」と訳されたが、大学における「専門課程の準備段階」といった一般教養のイメージに引きずられるのを避ける意味もあって、最近では「リベラルアーツ」と別に表記されることが多くなった。
A氏:東工大では人間性、社会性を広く養って志を育ててもらうために、「リベラルアーツ」は大学1年から博士課程まで続くという。 東工大の改革の司令塔は4月に発足したリベラルアーツ研究教育院(常勤教員54人)。上田紀行院長(文化人類学)は「立志プロジェクトは入学直後の必修科目で、3年後期には同じグループが再結集し、おのおのが『教養卒論』を書く」という。
私:国立大の文系は逆風下にあるのに、東工大は異色の存在だが、「教養重視」は今に始まったものではなく、同大の「百年史」には終戦直後、当時の理工系単科大としては例を見ない「人文社会系教育重視」の改革を実施したとの記述があるという。 指揮は戦前の科学技術機関、技術院で次長を務めた和田小六学長。 長男の和田昭允・元東大理学部長は「父は研究者と行政の双方を経験し、『世の中を広く知らないと、結局、専門も生かせない』と痛切に感じていた。そこで文系の一流どころを招いた」という。
A氏:試験勉強の成果主義の社会で育った優等生は「正解は一つ」と思いがちだが、世の中は正解のない問題ばかりで、誰かがつくった問いを解くより、自ら問題を見つけ出し「問いを立てる」ほうがはるかに大切だというわけだ。
私:何十年も前の学生が名物教授の授業で衝撃を受けたように、「よりよき世界をめざしていくんだ」という志を教養教育の中で感じとってほしいと上田紀行院長は言う。
文系の弱体化の大学危機を克服することによる東工大の創造性に期待したいね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2016.05.17 06:25:49
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