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私:今月の「安心新聞」は、このところの異常気象に関連して、「地球温暖化」問題をとりあげている。 神里教授は、「地球温暖化」の可能性に関する指摘は意外に古く、19世紀の前半、フランスのフーリエという科学者は、太陽からもたらされる熱量に比べて、地球の気温が高すぎることに気づき、彼は、その原因を大気の「温室効果」によるものだろうと考えた。 またスウェーデンのアレニウスは、二酸化炭素の増加によって気温が上がることを、19世紀の末に指摘し、二酸化炭素の濃度が2倍になれば、気温が5~6度上昇するだろうという予測もすでに示している。
A氏:だが、それらの科学的な知見を結びつけ、具体的な問題として捉え直し議論の俎上(そじょう)に載せたのは、1960年代の環境NGOであり、また米国大統領の科学的助言委員会であった。 さらに、それが地球全体にとって重要な共通課題として広く共有されたのは、80年代後半から90年代にかけてのこと。
私:しかし、「地球温暖化」問題の「捉えにくさ」は、従来の科学の枠組みに収まりきらない、この問題の特殊な性格と深く関わっている。 まず、この仮説を検証するための実験が困難であったことが挙げられ、もし、地球を二つ用意して、一方では二酸化炭素の放出を続け、もう一方では放出を止め、長い時間をおいて両者の違いを観察することができれば、仮説は「簡単に」検証できるだろう。 だが、そんなことは当然不可能で、その点、化学物質の反応や、物体の運動といった他のケースと、この点で大きく異なる。 「シミュレーション」も地球全体の問題であるために、対象が時間的・空間的に非常に広範囲に及んでしまい、不確実性が大きくなる。
A氏:もう一つ、二酸化炭素の放出の後、実際に気候が変化するまでに、かなり時間がかかるというのも大きな問題だ。 たとえば、磁石の性質をわれわれが容易に把握できるのは、磁石を鉄などに近づけてから吸い付けられるまでの時間が、非常に短いからだ。 仮にそれが1年かかるとしたら、きっと磁石という現象は、因果関係として捉えられないだろう。
私:このように「地球温暖化」問題は、科学的に実態を把握すること自体に根本的な難しさを伴う。 これは、政策決定者に対して、政治的な判断の余地を大きくする作用を持つ。 なぜなら科学的不確実性が高い分、事実によって政策判断が自動的に決まる領域が狭まるからだ。 これが、「地球温暖化」問題が政治問題化しやすい、一つの大きな要因。
A氏:トランプ大統領の「パリ協定」離脱も政治的だね。 二酸化炭素が「地球温暖化」の原因だというのは原子力産業の政治的陰謀説まであった。
私:神里教授は、それでも、世界中の専門家が努力を続けた結果、最新の報告書では、人為的な二酸化炭素の放出によって温暖化が起きている可能性が極めて高いと、結論づけられるところまで来て、これは重要な成果であろうという。 また、最近の異常気象は、「地球温暖化」と関係していると理解すべき証拠も確実に増えていると神里教授はいう。
A氏:さらに、神里教授は一点だけ追記しておきたいのは、今、パリ協定から離れようとしている米国こそが、最初にこの問題の深刻さを理解し、本格的な科学的検討を開始したこと、そして今も多くの中心的なメンバーが米国で活躍している、という事実であり、私たちはアメリカという国の重層性と奥深さを、忘れるべきではないという。
私:しかし、神里教授は「地球温暖化」問題は、科学的に実態を把握すること自体に根本的な難しさを伴うと言いながら、最新の報告書では、人為的な二酸化炭素の放出によって「地球温暖化」が起きている可能性が極めて高いと、結論づけられるところまで来て、これは重要な成果であろうとしている。 どういう「科学的証明」の進歩があったかふれていないのは楽観的にすぎるのではないかね。 また、神里教授が、最近の異常気象は、「地球温暖化」と関係していると理解すべき証拠も確実に増えているというのも、どのような「科学的証明」がなされたのかの肝心の説明がないね。
どうもまだ、「安心」できないね。
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Last updated
2017.08.18 17:39:32
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