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私:NYタイムズ紙のクルーグマン氏は、徹底したトランプ政権批判派だね。 今月のコラムでは、トランプ氏の関税措置問題をとりあげ、痛烈な批判をしている。
移民問題と違い、トランプ大統領の貿易相手国への攻撃は、激怒した貿易相手国の政府は(多くは裏切られたと感じている米国の同盟国だ)、報復できるし、そうするだろうという。
例えばカナダ。
今年3月、米国は鉄鋼とアルミニウムの輸入品に関税を課し、しかも安全保障を理由にカナダへの措置を正当化したが、その時、ホワイトハウスで通商問題を率いるピーター・ナバロ氏は、「どの国も報復してくるとは思わない」と断言した。
しかし、今月1日、カナダは126億ドル(1兆4千億円)分の米国製品に対する報復関税を発表した(ちなみにカナダの対米輸出入額はほぼ同じ)。
EUと中国も、報復関税を発表していて、メキシコも、左派の次期大統領が選出され、米国の言いなりになる可能性はまずない。
EUは、トランプ氏が欧州の自動車への課税という脅しをあくまで実行するなら、さらなる措置をとると警告しており、米国からの輸出品に約3千億ドル分の報復関税を課す可能性がある。
A氏:トランプ氏の関税は、規模も動機(安全保障という明らかな欺瞞)も、今までになかったもので、米国自身がつくり上げた貿易のルールを踏みにじることになる。
EUは警告の中で、米国の行為を「国際法の軽視」とずばり表現。
米ニュースメディア「アクシオス」は、トランプ政権の新関税法案の草案とする文書を掲載したが、それは案の定、事実上「WTOからの脱退」を意味するものだった。
米国は今、貿易体制全体の崩壊や、世界貿易の急激で破壊的な縮小を、いとも簡単に引き起こそうとしていると、クルーグマン氏は指摘する。
こうして我々は貿易戦争へと向かっていて、どうすれば事態の悪化を阻止できるのかもわからない。
何しろ、各国政府がトランプ氏の望みをかなえることはまさに不可能。
私:米国の国内経済も問題だ。
約1千万人の雇用を抱える輸出業者は、打撃を受け、輸入品と競合する一部の産業は雇用増になるかもしれないが、それらは連動するわけではなく、貿易戦争は大量の解雇を生み出すだろうとクルーグマン氏はいう。
特に注目すべきは、トランプ氏が支援を主張する業界でさえ、彼の政策に反対し、方向転換を求めていることだ。
A氏:ゼネラルモーターズ(GM)は、自動車関税が「投資の削減、雇用の減少、従業員賃金の低下」をもたらしかねないと警告。
米国自動車部品工業会(MEMA)は、「逆効果の一方的行為」は「米国の雇用と成長を損なう」とし、一方で安全保障の保護に何ら役立たないと断言し、政権は手を引くよう力説している。
トランプ政権でなく別の政権なら、他国からの報復や産業界の反対、関税による失業の可能性を目にすれば、政策の誤りに気づくかもしれないが、現政権では無理だとクルーグマン氏はいう。
さらに、クルーグマン氏は「大半の企業や金融市場の投資家は、貿易戦争の脅威を真剣に受け止めているとは思えず、これが一過性のもので、行き過ぎた下方スパイラルになる前に、『大人』が止めに入ってくれると考えているようだ。 現政権に、そんな『大人』などいやしない。この政権は、おおむね“かんしゃく”によって政策を決めているのだ。全面的な貿易戦争になる可能性は、十分すぎるほどある。いや、もう始まっているのかもしれない」という。
かなり悲観的な見方だが、クルーグマン氏の危惧するように、現実に、「大人」の存在なしに、世界は全面的な貿易戦争を展開するのだろうか。
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Last updated
2018.07.13 19:05:28
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