|
カテゴリ:カテゴリ未分類
私:アンドレイ・ランコフ氏のインタビュー記事は、北朝鮮の経済改革に詳しくふれているので、これに焦点を合わした。
ランコフ氏は、5月に北朝鮮を旅し、ここ数年、平壌では高層アパートの建設が進み、新車も増え、携帯電話を使う市民の姿がよく見られ、事実上、個人経営のタクシーもあり、スーパーは中国の店に劣らず商品があふれ、多くは国産品で、首都に比べれば劣るが、地方でも豊かさを感じるという。
昨年以降、経済制裁が影響を及ぼしつつあるが、金正恩政権下、経済成長は4~7%程度。
これは、1980年代の中国でトウ小平が取り組んだような改革が進んでいるため。
まずは2012年からの北朝鮮の農業改革。
協同農場では農民の小グループが、決められた土地の耕作に責任を持ち、収穫の3分の1程度を国家に納めれば、残りは市場などで売ることができ、農民のインセンティブ(やる気)を刺激し、生産性が高まった。
製造業でも14年ごろから「企業責任管理制」が導入され、企業所は原材料や部品を市場で調達し、製品の一定量を安い価格で国に納めれば、残りは市場で売れ、よく売れる製品をつくれば、労働者の賃金は上がる。
しかし、中国の改革では、「開放」が伴ったが、北朝鮮では「開放」は進まず、むしろ統制が強まる、「開放なき改革」。
A氏:ランコフ氏が、5月に北朝鮮で見たのは、黒のスカート、白の上着を着て街角に立つ女性同盟員の姿。
彼女らは、服や髪形が規則に違反している人を見つけると、笛を鳴らして取り締まり、当局は、外国映画やドラマのDVDにも目を光らせている。
北朝鮮が「開放」に慎重なのは、豊かで自由な韓国という存在があるからで、南北の経済力格差は少なくとも15対1、40対1という見方もある。
もし、北朝鮮が「開放」すれば、韓国から製品や情報がどんどん入ってきて、そのとき北朝鮮の人たちは「同じ民族で同じ文化を享受しているのに、なぜ我々は貧しいのか。なぜ優秀なモノを作れないのか。それは政治体制が悪いのだ」と思うだろうと、ランコフ氏は指摘する。
そして、韓国と早く統一しようという動きにつながり、体制崩壊の危機となる。
だから、北朝鮮ができるのは、開城工業団地のように狭い地域を限定的に開放し、労働者を厳重に管理し、外国資本を受け入れることで、中国のような大規模な「開放政策」はとれない。
私:金正恩政権は、独裁のもとで経済発展を目指す。
韓国でも60、70年代は、朴大統領が独裁をしき、経済を発展させたが、「開発独裁」体制は、途上国では珍しくない。
北朝鮮では白米でなくとも、トウモロコシを食べることができるようになり、餓死者が出なくなり、「開放なき改革」が成功すれば、よりましな状況だと思うと、ランコフ氏はいう。
北朝鮮の非核化については、ランコフ氏は、「北朝鮮の核放棄はない」と思うという。
この点、韓国の多くのメディアはあまりにも楽観的だと指摘している。
北朝鮮が核開発を始めてから約60年、膨大な投資をしてきて、核を放棄したらどうなるか、彼らは、リビアのように外から攻撃されて政権が崩壊すると考え、最近ではトランプ米大統領がイランとの核合意を破棄したことで、米国で政権交代があれば、前の政権との約束を簡単に否定するので、米国は信じられなく、頼りになるのは、やはり核兵器だ、ということになる。
北朝鮮が6月に米国との首脳会談に応じたのは、米国による攻撃の可能性を減らすこと、そして厳しい経済制裁を少しでも緩和することが狙いだと、ランコフ氏はいう。
ランコフ氏は「状況は変わりつつあります。米国と『貿易戦争』で対立する中国は、もはや北朝鮮への制裁を厳しく実行しようとはしません。抜け穴ができ、北朝鮮も一息つけるようになりました。核やミサイル開発で譲歩しようという意思は、年初より弱まっているでしょう」という。
確かに、北朝鮮の非核化はなかなか、具体的な進行がみられないね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.09.12 14:55:36
コメント(0) | コメントを書く |