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カテゴリ:折々のバカ
世界一美しい湖は北海道にある。グアテマラのアティトラン湖が世界一だと言われているが、屈斜路湖、支笏湖、洞爺湖などはいずれもアティトラン湖より美しい。
その支笏湖を源流とする川に千歳川がある。日本でも屈指の、つまり世界でも屈指の美しい川の一つである。 しかしその千歳川よりももっと美しいのが、千歳川の支流の一つ内別川だ。 この川は支笏湖を源流としているのではなく、珍しくも湧水が集まった川である。アニメ「もののけ姫」にでも出てきそうな、神秘的なオーラさえ感じさせる。この川一体は立ち入り禁止になっているが、源流部から千歳川に合流するまでの長さ2.5キロメートルのほどの川の水=ナイベツ川湧水は日本の湧水名水100選にも選ばれている。 千歳市の水道水にはこの水が使われている。塩素消毒されているとはいえ、市販のほとんどのミネラルウォーターよりおいしい。 内別川と千歳川の合流地点近くには浄水場があり、その周囲は「名水ふれあい公園」になっている。水飲み場も一ヵ所だけある。 日常飲用・炊飯に使う水は、できるだけ水道水を避けるようにしている。塩素消毒することによってトリハロメタンなどの発がん物質ができるからだ。できれば入浴や洗顔も水道水は避けたいのだが、微量でもとりあえず口から発がん物質を入れるのはゴメンだ。 だから春と秋の二回、羊蹄山の湧水を汲みに行き、日常の炊飯と飲料にはこの水を使っていた。だが羊蹄山は遠い。往復で5~6時間かかる。もう少し近くで湧水を汲めるところはないか。そう思ってナイベツ川湧水に目をつけたのだった。ここなら、往復2時間で済む。 しかし、名水公園と銘打っている割に、水を汲める場所がない。小さな蛇口ひとつだ。これで400リットルの水を汲もうとしたら何時間もかかってしまう。もし先客がいたらひどく待たされるし、待たせてしまう。 ここを訪れた10年ほど前、この蛇口から出る水をコップにため、匂いをかいだりしていた。母と、これはほんとうに湧水だろうかと言い合っていたその時である。 作業服を着た小太りでブサイクな中年男が近づいてきて、聞きもしないのに「何やってんのさ。大丈夫だ。この水はちゃんと塩素消毒してあるから飲めるに決まってるべや」と北海道弁で怒るように説明して去っていったのである。 その男が何者かはすぐわかった。浄水場の中に入っていたからである。千歳市水道局の役人かそこに雇われた管理人だということだ。 われわれは唖然とした。塩素消毒されている水道水を避けて湧水を汲みに来ている人間に、塩素消毒されているから安全だと言い放ったのである。こんな輩を税金で養い水利権の一端を担わせているのかと思うと腹立たしくもあった。 たしかに「塩素消毒すると安全」なのは間違いではない。 たとえばコレラ菌。これは、日本の河川にも存在し、散発的ではあるが最近も感染者が出ている。1886年の大流行では日本でも10万人以上が死んでいる。ラムネやサイダーなど炭酸飲料の爆発的普及はこうした明治期のコレラ大流行の時期と一致しているが、これはたぶん水道水の飲用を避けた代替消費によるものだと思う。 正確には、塩素消毒するとコレラ菌などは死滅するので安全だがトリハロメタンなどの発がん物質が生成するので危険。これが水道水である。 それでは名水が安全かというと、そうとは限らない。日本三大清流の一つ柿田川の水からはトリクロロエチレンが検出されたこともある。 この公園管理人のバカさはあまりにもシンプルで誰にもわかりやすいが、テレビなどでしばしば見聞する「植物由来成分なので安心」というキャッチコピーには何となく騙されてしまうことが多い。 化学調味料はシイタケやコンブから作られる。この事実だけをもって化学調味料の安全性の根拠にする人がいるが、植物由来、あるいは自然界由来の毒は種類もその強さも人工的に作られた毒の比ではない。 有名なのはワラビである。ワラビのあくには発がん物質が含まれている。アーモンド、ウメ、杏などは腸内細菌によって分解され有毒な青酸ができる。あく抜きをしっかりする調理法とか、大量に食べてはいけないとか、食べ合わせのタブーとされている食物があったりするのは、われわれの先祖が植物由来の毒を経験的に知っていたからにほかならない。 大事なのは、何となく思いこまされているイメージを信じず、すべてを疑ってかかることである。 何が安全か危険かは、わたしやあなたが決め判断するのであり、名水公園の管理人や厚生労働省の官僚ではない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
June 11, 2009 01:17:25 PM
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