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カテゴリ:映画
蠍座の企画「稀代の名優・三國連太郎第二期」の4本のうちの2作を観た。
「脅迫(おどし)」(1966年)は深作欣二監督、「人間の約束」(1986年)は吉田喜重監督作品。 痴呆症、介護、安楽死といった現代的な「重い」テーマに、難解な映画作りで知られる吉田喜重が挑んだ「人間の約束」は、気が乗らずに観たが、これが感動的な秀作だった。感動的と言っても救いやカタルシスはない。自宅で亡くなった老婆の検死を行った刑事が、不審な点を見つけて追求していくが、そうしたことがいかに無意味で表面的なことかを、真実を知る観衆は身につまされる切迫感や恐怖と共に知ることになる。 もちろん三國の演技はすごい。認知症を装っているのかほんとうに認知症であるという演技なのか判然としない部分があるほどで、見ているこちらまでわからなくなってくる。母を安楽死させた息子の罪を認知症を装うことによって自分でかぶろうとするその愛情の深さは落涙もの。こうした問題の複雑さ困難さには暗澹とさせられるが、見終わって残るのはむしろ爽快感。こういう重い映画こそ映画館で見なくては真価がわからないと痛切に感じた。 家族の断絶なども描かれ暗く救いがないが、細野晴臣の音楽は趣味がよく、家の中の書や生け花など背景のすみずみに神経がゆきとどいている。そのため重く暗いテーマにもかかわらず映画全体が美的な格調の高いものになっている。 吉田喜重監督としてはストレートな映画だが、そのあたりが巨匠の面目躍如というところ。 サスペンス映画「脅迫(おどし)」では、三國は気の弱いサラリーマン役。脱獄囚二人が侵入し三國一家を利用して身代金を得て逃亡しようとする。ハリウッド映画によくある手法だが、最後の最後にケツをまくった弱者の側が逆襲してめでたし、といった内容。 気が弱くまどろっこしい三國のみならず、この脱獄囚役の西村晃の個性的な演技には圧倒される。映画とはわかっていても、ほんとうに憎らしくなってくるほど。もうひとりの悪役(室田日出男)の単純な粗暴さとの対称も妙で楽しめる一本だった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
December 4, 2011 02:37:36 PM
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